久伊豆神社 埼玉県越谷市袋山 旧・村社
現在の祭神 大己貴命
[合祀] 別雷命 <雷電社>
本地 十一面観音

「埼玉の神社 北足立・児玉・南埼玉」

久伊豆神社

  越谷市袋山341(袋山字根通)

歴史

 『風土記稿』袋山村の項に「雷電社 村の鎮守とす、村民持、下同、○稲荷社二宇(中略) 久伊豆社」とあるように、江戸時代の袋山村には四つの神社が祀られていた。 ここには雷電社が鎮守とあるが、明治の社格制定時には当社が村社となり、雷電社は二つの稲荷社と共に無格社となった。 その後、雷電社は明治四十年に当社に合祀され、今では旧地さえわからない。
 一方、『明細書』に記された諸社の勧請年を見ると、雷電社は元禄八年(1695)、稲荷社が寛延四年(1751)と宝暦八年(1758)であるのに対し、当社は慶長五年(1600)と最も古く、また、雷電社が村の南端近くにあるのに対し、当社は村の中央に鎮座し、その向かいには明治初年まで持福院という別当寺もあった。

信仰

 慶長五年という勧請の年から推測すると、当社は村の開発が進められる中で祀られたものであろう。 創建当初の状況は資料がないため明らかではないが、内陣には十一面観音像を線刻した径21.1センチメートルの銅製懸仏が御正体として安置され、崇敬を受けている。 ちなみに、この懸仏の裏面には「越ヶ谷領袋山村久伊豆大明神 貞享三丙寅歳(1686) 別当地(ママ)福院尊祐」の銘がある。