飯王子神社・酒王子神社 東京都三宅村神着  
現在の祭神 飯王子・酒王子
本地 薬師如来

「三宅記」

亦三宅島に置せ玉ふ后をば天地今宮とぞ申ける。 此御腹にも王子二人在しき。 一人はアンネヰゴ、一人はマンネイゴとぞ申ける。
[中略]
其時三人を打つれ大島へ飛玉へば、大蛇も亦大島へ御後を追ひ来り、亦三人打連三宅島へ飛せ給て、三女をば御嶽に隠参せて、見目若宮に向ひ如何せんと仰有ければ、易き御事とて、大成る穴を二つ堀、一の穴には飯を積てアンネヰゴに預け玉へ、是れ飯の王子也。 亦一の穴には酒を漂へマンネイゴに預けさせ玉へ、是れ酒の王子也。 [中略] 爾る処へ大蛇来り腹を立て、御嶽へ上らんとしけるを、見目出て向、様々になだめて先々飯酒を参せんと有れば、大蛇も彼の穴へ向けり。 兼て支度の事なれば、飯の王子は飯をしひ、酒の王子は酒を進め給ば、大蛇忽に酔て鱗を立て眠りける。
[中略]
扨て代々過る程に、文武元丁酉より大宝元辛丑年迄に、島々后々王子王子、大明神の御誓願の如く衆生の願ひを満足せんと、各御願を立て玉ふ御姿を石に写し顕玉ひぬ。 王子の体は皆薬師に顕玉ひぬ。