生国魂神社 大阪府大阪市天王寺区生玉町 式内社(摂津国東生郡 難波坐生国咲国魂神社二座〈並名神大 月次相嘗新嘗〉)
旧・官幣大社
現在の祭神 生嶋神・足嶋神
[配祀] 大物主神
本地 薬師如来

「鐘銘」(慶長十一年)

南贍部州日本国摂州闕郡生玉大明神者、本地医王如来也。

「摂津名所図会」巻之三

難波坐生国国魂神社

高津の南にあり。 祭神生魂命、大国主命なり。 【延喜式】に曰く、生国魂二座、名神大、月次・相嘗・新嘗。 【三代実録】に曰く、貞観元年春正月、奉授従四位下。秋九月奉幣為祈雨祈焉。 大坂上町市中の産土神とす。 例祭六月二十八日。御祓と称す。九月九日を秋祭といふ。 御朱印三百石を西生郡下難波村にて賜ふ。
当社は、神武天皇紀戊午九月難波に鎮座す。 社頭は今の御城の地なりしが、明応五年本願寺蓮如上人御堂創建の時やしろを側に移す。 其後、天正年中平信長と本願寺顕如上人と数箇年合戦の時、兵燹に罹て灰燼となる。 纔に神璽を鎮て小祠を営む。 慶長のはじめ、豊太閤金城を修補し給ふ時、今の社地を遷さる。 奉行は片桐東市正且元とぞ聞こえし。
末社 北の方、天照皇太神宮・豊受皇太神宮・大己貴命・事代主命・少産名命、南の方、八幡宮・住吉社・厳島社・金毘羅権現。
本地堂 本尊薬師如来を安ず。聖徳太子御作。
大師堂 石像。弘法大師自作の影なりとぞ。
太子堂 聖徳王十六歳の尊影を安ず。
聖天祠 境内南向にあり。
神宝霊玉 宝輿に鎮め奉る。社僧の説に曰く、これ生魂命化現の霊玉にて、即出現の地を玉造といふとぞ。しかれどもいまだ神伝聞こえず。宝輿は官家より賜ふ。
南坊 社頭の北にあり。社僧貫首とす。真言宗志宜山法案寺と号す。
稲荷祠 南坊庭中にあり。いにしへは御城中に有りて榎稲荷と称す。