磐裂神社 栃木県日光市上鉢石町  
現在の祭神 磐裂神
[配祀] 根裂神
本地 虚空蔵菩薩

「下野国日光山鉢石星宮鎮座伝記」

野之下州二荒山ノ麓、鉢石星宮之神者、磐裂神也、 本地虚空蔵菩薩、則明星也、
人王四十代孝謙帝天平宝字元年、釈勝道開基也、
道公、其先者垂仁天王之皇子巻向尊十九世之孫、高藤介之子也、 幼名藤糸、七歳之時、怳惚之間、 衣冠厳粛容貌端正之人来而、告藤糸曰、我是太白星也、汝法器也、 今吾可授三帰四弘文、慎而勿怠コト矣、藤糸稽顙再拝シテ受之、 畢而忽然昇天、而後脱障之志確乎不懈也、
至冠歳、同国入伊豆留之窟而修練スルコト三年、 天平宝字元年冬十一月、夢北方之山上有八尋許之榊、注連懸枝矣、 覚而則行北方数十里漸到山麓、瞻仰スレハ山上恰モ如所夢也、 道歓喜益深而、経氷雪渉嶮岨亦里余有大川、碧潭洶涌シテ不可渉也、 故止河側、営茅舎誦法華断粮数日、 忽有青衣童子、携異果来与之、其味甘美而食之不飢経日也、 或夜奇雲覆舎、異香満室、光明照窓彷佛タル中ニ神現形、 告藤糸曰、我是磐裂神也、昔伊弉諾尊斬火神、 其血激越染於天八十河原五百箇磐石、因化成五神、我其一神也、 亦五神化而星為、則五星也、吾則其一太白星也、 主西方金気所化也、故曰太白、西方白色故、 五星託人身為五臓也、太白星者主肺、肺主鼻、鼻者則体之始也、 故太白星失度則兵革起年而年不登也、順則五穀熟天下清平也、 亦我在天竺現虚空蔵菩薩、為釈迦如来遭供養也、 前吾、汝有法器故授三帰四弘文也、 此山者、往昔神代以降大己貴命、田心姫命、味耜高彦根命、 三神垂跡之地也、三神霊常在山頂、 汝発大信心、遇三神、開基而可為霊区也、言訖テ失所在也、 藤糸稽首拝顙、悦而手親彫刻於所見之形、 今星宮之御正体天童子形之虚空蔵是也、 即建小祠奉鎮座彼像也、星宮是也

「日光山志」巻之一

星宮[LINK]

星宮 下馬の南なる山麓、杉の古樹社辺を圍繞す。 此宮小社なりといへども、日光緇素大切なる社頭なり。 其来由を爰に省略してしるさんには、当山開祖上人、いまだ御幼稚ににておはせしころ、御童名を藤糸丸と称し奉れり。 天平十三癸丑、藤糸丸七歳の秋、或夜明星天子忽然として降臨ましまし、親告げて宣わく、二荒山は神代より以降、大己貴命・田心姫命・味耜高彦根命垂迹の霊地にして、三神とこしなへに彼山頂にましませり。 爾るに汝兼て三神と宿縁厚うして、頗法器を備ふ。 速に大心を発し、彼山川を跋渉して三神に値遇し奉り、勝地を草創して、遠く末代の群生を済度すべし、我は是虚空蔵の垂迹なり。 天にありては大白星とあらはれ、此土に来下しては磐裂の荒神たりと、告げ訖りて忽然として見え給はず。 藤糸奇異の思ひをなし、是より信心膽に銘じ、発心常に怠り給はず。 遂に二十七歳の春、薙髪授戒して、当山開基の功業を成し給へり。 上人曾て四本龍寺におはせし時、徒弟の人々に告げて宣く、吾此霊山を開き、精舎を建てゝ、天下の為に帰依せらるゝこと、畢に明星天子の神勅、深沙大王の擁護によれり。 汝等及末代、我が耳孫たるものは、常に此両神を尊崇して、必神恩を忘失すべからずと。
[中略]
是に仍て是を観れば、星宮は当山権輿の基にして、上人の恩沢遠く今に及ぶも、全く二神の冥助に出でゝ、恰比叡の山王赤山に斎し。 小社といへども、疎なるべけんや。 此ゆゑに今猶東西町にて、星宮并虚空蔵を以て、総鎮守と崇め奉れり。

「日光山御本地」

男体(千手)  女体(阿弥陀)  太郎大明神(馬頭)  星宮(虚空蔵)  荒脛巾(薬師或地蔵)  三宮(普賢十羅刹女)  一宮(文殊)  十八王子(十一面)  山王(惣名)  赤倉(薬師)  三笠(文殊)  日満(大日)  小玉殿(金輪)  飯室(勢至)  鹿嶋(十一面)  深沙大王  属星御前(尺迦或如意輪)  温泉(如意輪)  十万金剛童子(普賢)  碩山(阿閦)  白山三所(十一面、正観音、阿弥陀)  山王七社(大宮尺迦、二宮薬師、聖真子阿弥陀、客人十一面、十禅師地蔵菩薩、三宮普賢、八王子千手)  十八王子  三笠(文殊)  赤磴(薬師)  大真子(虚空蔵)  小真子(地蔵)  妙見(龍樹)  前二荒(得大勢)  小補陀羅(多聞天)  黒檜(軍荼利)  専女(大日)  帝尺(尺迦)  小太郎(准胝仏母)  白根(十一面)  雪山(不動)  小白根(正観音)  鈴巓(妙音)  鉢山(大威徳)  温泉(如意輪)  三宮(普賢)