金峰神社 新潟県長岡市西蔵王三丁目 式内論社(越後国古志郡 宇奈具志神社)
旧・県社
現在の祭神 金山彦命
[合祀] 大地主神・須勢理比売神・沼奈川比売神 <又倉神社>
本地
蔵王権現釈迦如来
王神(又倉神社)降三世明王・軍荼利明王・大威徳明王・金剛夜叉明王

「日本の神々 8 北陸」

金峰神社(鈴木昭英)

 当社の現社号も祭神金山彦命も明治の神仏分離以後のものであり、それ以前は蔵王権現を祀って蔵王権現堂または蔵王堂と称されていた。 この蔵王権現は、和銅元年(708)に大和国吉野郡の金峰山から古志郡高波庄楡原(現、栃尾市岩野)に鎮座し、その後この地に遷座したと伝えられる。
[中略]
 近世の蔵王堂奉斎の神仏像は、神仏分離の嵐を受けたにもかかわらず、その多くが遺存している。 別当安禅寺が明治期にいったん廃絶したものの、同十八年に独立して復興され、旧蔵王堂の仏像類が移管されたためである。 江戸期には、蔵王本堂内陣に中尊蔵王権現、脇仏毘沙門天・不動明王像が祀られていた。 その奥の内々陣には開扉厳禁の厨子があったが、明治の神仏分離に際して柏崎県派遣の調査官が訪れたときはじめて扉を開き、木箱のなかに銅製打出蔵王権現像と鉄製釈迦像が入っていることが確認された。
[中略]
 このなかで、時代の古い毘沙門天と釈迦像の存在は貴重である。 釈迦は蔵王権現の本地仏であり、蔵王堂の古さを証明する。

「塩尻」巻之七十六

○或問、近世民間六十六部とて回国す、如何なる寺社をか順礼するにや。 予曰、是近き比の野俗なれば、参詣の所もさだまらず、六十六ヶ所の寺社に、一部法花経を奉納し奉る。 其次は宝永四年東武旭誉が板行せし一幅に見へたり。
下野滝尾山(千手)  上野一宮(弥陀)  武蔵六所明神  相州八幡(釈迦)  豆州三島(釈迦)  甲州七覚山(同上)  駿州富士(阿弥陀)  遠州国分寺(釈迦)  三州鳳来寺(薬師)  尾州一宮(大日)  濃州一宮(薬師)  江州多賀(弥陀)  伊勢円寿寺(不動)  勢州朝熊岳(福方)  志州常安寺(正観音)  紀州熊野本宮(弥陀)  泉州松尾寺(千手)  勢州上太手(正観音)  和州長谷寺(十一面)  城州加茂社(正観音)  丹波穴太寺(十一面)  摂州天王寺(正観音)  阿波太亀寺(虚空蔵)  土佐五台寺(同上)  伊予一宮(正観音)  讃州白峯(千手)  淡路千光寺  播州書写山(如意輪)  作州一宮(釈迦)  備州[前カ]吉備津宮(弥陀)  備州[中カ]同上(同上)  浄土寺(正観音)  芸州厳島(弁才天)  防州新寺(正観音)  長州一宮(同上)  筑州宰府天神  筑後高良玉垂(釈迦)  肥州千栗(弥陀)  肥後阿蘇宮(十一面)  薩摩新田(弥陀)  大隅八幡(同上)  日向法花嶽(釈迦)  豊後由原(弥陀)  豊前宇佐(同上)  石見八幡(同上)  雲州大社(釈迦)  伯州大仙寺(地蔵)  隠岐託日(釈迦)  因州一宮(同上)  但州養父(文殊)  丹波成相(千手)  若州一宮(釈迦)  越前平泉寺(釈迦)  加州白山(弥陀)  能登石動山(虚空蔵)  越中立山(弥陀)  飛州国分寺(釈迦)  信州上諏訪(文殊)  越後蔵王権現(釈迦)  佐渡小比叡山(正観音)  出羽湯殿山  奥州塩竈(釈迦)  常州鹿島社(同上)  下総香取社(十一面)  上総一宮  阿波清澄寺(虚空蔵)
右の内にても亦霊なる所を順礼するもあり。 山城にて八幡、清水、大和にて東大寺、興福寺、法隆寺にて納経す、尾州にて熱田国府宮寺定たるもあり、国々にて其志す寺社に納め侍るとぞ。

小池内広「越後国式内神社考」

宇奈具志神社

此社に王神と称してむかしより世に異なる珍らしき祭さまの神あり、 第一を上條殿、第二を中條殿、第三を下條殿(古は信濃川より東の村々を巡行し給ふ。其流に隨て上中下條とは称する也)、第四を河西殿(此は信濃川の西の地を巡行し給ふによりて称するなり)、 都合四座をまた太郎、次郎、三郎、乙子の四王神とも称す(是も古き号とそとおほゆる)、右祭神未審、 これを祭るに正頭と称すか四座、笠置と云か八座ありて、三股の鉾と鏡とを榊につけて、木綿垂つけて神体とす、 其鉾の茎に金剛蔵王第一之王子なと彫つけ、鏡にはさまさまの仏像を鋳附たり、
愚按、鏡矛等は神宝とて奉るものなるを、それ神のめで給ひて御霊を留め給ふを、則霊実として祭れる、上古の例ならむ、 然るを其鏡矛に僧ともさまさまに混合して、右の如くなしつるならむ、 かくて其四王神を僧ともは四大明王金剛界、また降三世、軍荼利、大威徳、金剛夜叉、四大明王の本地仏なり、曼荼羅中には四隅神とも唱ふ、又神躰之戟鈷杵は金剛部三摩耶形なりなとも云めり