賀野神社 兵庫県姫路市夢前町山之内戊 旧・郷社
現在の祭神 伊邪那岐命・伊邪那美命・保食神
[合祀] 高皇産霊神・神皇産霊神・誉田天皇(応神天皇)
本地 弥勒菩薩・地蔵菩薩・観世音菩薩

「兵庫県神社誌」中巻

郷社 賀野神社[LINK]

伝へ云ふ応神天皇当国巡幸の際暫く鳳輦を此地に駐め給ひしに或夜の御夢に翁媼二神現れて「我は是れ伊弉諾、伊弉冉の神なり保食神と共に此山に祀り給はゞ百姓饒かに国富まん斎くべき処に天津重の八尋鉾を突立て置かん」と告げ給ふと見えて醒め給ひき 天皇奇異に感じ給ひ人をして求めしめ給ふに果して鉾地上に立てりと故に播磨臣等に命じて三柱神に幣帛を奉りて厚く祀り給ふ 時しも孟夏の頃とて蚊虻多くして群臣苦しめり 故に織部に命じて蚊屋を作らしめ給ふ 因つて其地を鉾立峯又は幣帛丘と云ひ里の名を賀野里と称す 後ち推古天皇の御宇(或は孝徳天皇の御宇とも云ふ)法道仙人來りて鉾立峯は坂嶮しくして道遠く衆庶の参拝に便ならずとて賀野神社(飾磨郡)山麓現今の地に遷座し社号を雪彦山大権現と称す
[中略]
〔播磨社寺巡拝記〕前ノ庄ヨリ北三里高山疊々トシテ老樹鬱々タルヲ見ル コレナン雪彦ノ神山ニシテ権現ハ八幡ノ昔鉾立ノ丸幣ノ尾ニ天降ラセ玉フ処ナリ 伊弉諾伊弉冉三狐ノ三尊(社家ハ諾冉及国常立ト云フ誣言ナリ) 本地ハ弥勒地蔵観音ノ三菩薩 法道仙人今ノ社地ニ遷座マシマシケル
[中略]
〔雪彦山三所権現勧進帳。〈文明八年〉〕
 勧進沙門敬白
 請特蒙十方壇越扶助造立播磨国賀屋庄雪彦山本堂并三所権現神殿倍飾三宝住持依正弥二祈公家武門泰平状
右堂寺者推古天皇御宇法道仙人草創也 本尊是現十一面尊容底後五百歳化導 鎮守亦示三所三躰化用表三部相応霊地温厥本地称地蔵観音三菩薩也 或居六欲中天待会託生或遊雲上蒙三摩附属本迹雖殊不思議一也