熊野神社 神奈川県横浜市港北区師岡町 旧・郷社
現在の祭神 伊邪那美尊・事解之男命・速玉之男命
本地 阿弥陀如来

「新編武蔵風土記稿」巻之六十七
(橘樹郡之十)

古師岡村

熊野三社

字寺家谷と云所にあり、
[中略]
二間四方の宮作りにて五間四方の上屋を設く、いかにも物旧たる神社なり、 関東随一霊験所熊野三所権現と云、 貞治三年五月記せしと云縁記あり、
[中略]
抑当社は聖武天皇の御宇神亀元年ある老僧いづくより来りけん当所の梛樹のうろにすみ、火食せずして偏に法華経を転読せり名をは全寿と云、 斯して年月を送りけるにある暁、暫く眠る夢の中に熊野証誠権現の告によりて、本地弥陀の像毘首羯摩が造るものを、大和国春日明神へ参籠して感得し当所に負かへり、小祠を造り安置し専ら信心をこらせしと、 今の本地の像是なり長二尺六寸許、 此全寿後には和州に往て金峯山に跡を隠し遂には仙し去れりと云、 その後光孝天皇の御宇仁和元年七月天皇御脳のとき霊験ありしにより、六條の中将有房を勅使として同十二月宣旨を下し、 神社御造営ありて粧厳頗る美を尽せしと云