黒姫神社 新潟県柏崎市高柳町岡野町 式内論社(越後国三嶋郡 鵜川神社)
旧・村社
現在の祭神 罔象女命・黒姫神
[合祀] 伊弉冊尊・速玉雄命・事解男命・倉稲魂命・石動彦命・石動姫命・天目一箇命・建御名方命・埴山姫命
本地 如意輪観音

「日本の神々 神社と聖地 8 北陸」

黒姫神社(鈴木昭英)

 黒姫大明神は、景行天皇御宇、武内宿禰が黒姫山に登ったとき罔象女神が出現し、その神託によって船の大倉の磐山に瑞殿を建てて祀ったと伝えられる。 白鳳六年(678)神託があって社殿を子丑の方角へ十余町引き、応永二年(1395)さらに三町余り東へ移し、翌応永三年には山頂社の分霊を麓の岡野町に勧請したともいう。 しかし、これらには確かな証拠があるわけではない。
 里宮の境内には、山宮・里宮を掌る神職の大倉家が居住するが、 同家所蔵の享保八年(1723)の文書によれば、 黒姫大明神は大倉家の先祖が両部神道を勤めたときに本地観音像が垂迹したものという。 すなわち、昔は黒姫大明神は本地観音、垂迹罔象女神とし、 別当大倉氏は神仏混淆の社僧であった。 山頂本宮は本地仏としての如意輪観音を祀って越後三十三観音第九番札所に指定されていたが、 その石像は明治初年に山麓の磯之辺に下ろされ、いまも黒姫山観音堂に奉安されている。