櫛田宮 佐賀県神埼市神埼町神埼 旧・県社
現在の祭神 櫛稲田姫命
[配祀] 素戔嗚尊 <高志神社>・日本武尊 <白角折神社>
[合祀] 大己貴命・仁徳天皇・菅原道真・猿田彦命
本地
櫛田宮薬師如来
高志宮阿弥陀如来
白角宮不動明王

「肥前古跡縁起」

櫛田

神埼郡櫛田大明神は天照大神第一の姫宮豊次姫是也、 伊勢の国に御宮居し給ふ時鬘に指給ひし御櫛を落し給ふ、 太神宮笑はせ給ひ、悦哉下界の衆生を接対給へ、 即此宿縁を仰ぐべしとて御櫛の落ける跡を櫛田と号し宮居を定め素盞嗚尊と御夫婦語ひ有りて、三輪の明神を設け給ふ、 日向の国を思召しては、肥前国神埼郡に跡を垂給ふ、 神功皇后蒙古退治の御時、神主宮内守員と云ふ者に託して曰、 我皇基を守り衆生を憐むが故に、筑前州くしな郡波志の海辺に出て起る蒙古を可追罰即我が御剣を守り、かしこに移し申すべしと宣ふ、 神主神託に任せ御剣を守り奉り、筑前に移し侍るに、同国の博多の津に岩次郎と云へる正直無比の麿有り、 霊夢の御告を蒙り、三日精進潔斎して御剣のさびを落し、其侭御箱に入て宝前に納め奉る、神変疑ふ所なし、 波志の波連り渡り給ひて数百万の大蛇を現し、蒙古を悉く従へ給ふ、 其時敵の剣にあたり給ふ御疵を櫛田の宮の宝殿に残し置給ふ、 其証今も有りとかや、
[中略]
抑櫛田三所大明神と申奉るは、高志宮、白角の宮、櫛田の宮也、 高志宮、本地阿弥陀如来、白角の宮は不動明王、櫛田宮は薬師如来也