九頭神社 和歌山県紀の川市麻生津中 旧・村社
現在の祭神 素戔嗚尊・大国主命・稲田姫命
本地 馬頭観音・普賢菩薩・文殊菩薩

「紀伊続風土記」巻之三十八(那賀郡第十二)

麻生津荘 中村

○九頭大明神社 境内森山(東西一町南北一町三十八間)
 本社(二間半二間) 三扉
  左右庁 舞台 鳥居二基
 末社
  下司社 公文社 露伏社
  祇園社 祓戸社
村の坤の方にあり 一荘の総産神なり 荘の旧家に下司公文露伏という三家あり 神主は此家より支配するなり 当社祀神社伝には三種神器を表すといふ 本地仏は中央馬頭観音左右普賢文殊といふ 一年五度の祭礼ありて中に正月午日を重祭とす 又外に九月二十八日を荘の祭日とすといふ
  別当 神宮寺
明神の側にあり 大般経蔵あり

「大和・紀伊 寺院神社大事典」

九頭神社

 旧・村社。 祭神は大国主命・須佐男命・稲田姫命。 麻生津荘の総鎮守とされた。 口碑によれば、西脇(現那賀町)居住の若林家の祖先が北脇(現同上)の紀ノ川半田淵で神体を発見、村民がその奇瑞に感激して現在地に祀ったという。 「続風土記」によれば、かつて境内は東西一町・南北一町三八間あり、本社・舞台のほかに末社として下司社・公文社・露伏社・祇園社・祓戸社が鎮座。 本地仏は馬頭観音で左右に普賢・文殊が祀られていたという。 また神宮寺があったとも記される。