小浜神社 石川県河北郡内灘町大根布3丁目 式内社(加賀国加賀郡 小浜神社)
旧・県社
現在の祭神 大己貴神・事代主神・少彦名神
本地 千手観音

柴野美啓「亀の尾の記」

真言宗 宝集寺[LINK]

本尊千手観音は、往古泰澄大師越前の越智山に於て、一つの霊木を以て地蔵・観音・孔雀明王等の三体の尊像を彫刻し、中堂に安置す。 其後同国平泉寺の大聖院一代、彼の三尊の中の観世音を頼み、二世の悉地をいのり、即ち種々の奇瑞奇告を感得し、世間を利済する事尤多し。 依て数百年来万方の民俗帰依渇仰する事日々に増広す。 然るに天正の乱に一山大破の折から、大士みづから同国鳴鹿村何某方へ忽然として鎮座まします事若干年月。 然るに去る仔細あつて、当国黒津船の本地堂に勧請し実に鎮護国家の大慈尊と仰がれ給ひ、利生さらに佗に異なりしに、後神主少しく神道を知りたるもの、諸社の本地を除きし時此寺へ移すといふ。 一説、此時老翁一つの尊体を荷負し来り、告て曰、是はこれ僧泰澄の作にして、当国黒津船権現の本地大悲薩埵なり。 当寺に安置し、とこしなへに二世の大願を営むべしと云ひ終て、其行方を知らずといふ。