船上神社 鳥取県東伯郡琴浦町山川  
現在の祭神 伊弉那美命・速玉男命・事解男命
本地 地蔵菩薩・十一面観音・毘沙門天

「伯耆民談記」巻之三

船上山

 智積仙人の練行の旧柄、赤衣上人の草創の山なり。 船上山智積院と号す。 地蔵権現を本尊とし、十一面観音、多門天を脇主として、三所権現と称するなり。 本社より百歩余り去って、熊野権現の社あり。 奥の院と号す。 不動の滝として大なる瀑布西の方に見ゆ。 南の方に烏ヶ山、矢筈ヶ山、兜ヶ山なんと云ふ三嶺鋭に聳え、麓より山道を覘へは、西は巌石をたたみたる九折三十余町に及び、東は猿坂とて十余町も有らん嶮阻の切所なり。 当国三つの嶮嶺にして、地理の景色、筆墨の及ぶ所にあらす。 会式は毎年三月二十三日なり。 別当法会を修し畢れは、社職奉幣の神事を奏す。