新宮神社 岐阜県郡上市八幡町那比  
現在の祭神 那比大神
本地 虚空蔵菩薩

「日本の神々 神社と聖地 9 美濃・飛騨・信濃」

高賀山の諸社と虚空蔵信仰(佐野賢治)

(2)新宮神社  中世には岩屋社、岩屋新宮と称され、本殿には金銅製の虚空蔵菩薩(貞和二年・1346)が安置されているが、これは別当の浄覚が願主となって鋳造したものである(棟札による)。 この浄覚は観応二年(1351)から文和三年(1354)にかけて、五部大乗経を筆写している。 懸仏は鎌倉・室町期の作とされ、全部で270面あり、うち151年が虚空蔵御正躰である(他は薬師如来29面、十一面観音12面、地蔵菩薩12面、阿弥陀如来5面など)。 紀年のものが数面あるが、その一つに
奉鋳高賀山権現御正躰虚空蔵菩薩像一躰金銅鏡面  正嘉元年丁巳(1257)十二月十四  大勧進慶西
とあり、本地が虚空蔵菩薩であることを明確に語っている。 そのほか鎌倉期の大般若経、五部大乗経、鰐口(文永五年・1268)などとともに地蔵菩薩、十一面観音、弁財天、蔵王権現などの平安仏が残り、経典の木札には、濃州武儀郡菅谷郷飛瀬洞隠住侶行者善昌が永正三年(1506)正月から七月まで二百十日間神前に参籠し、虚空蔵求聞持法、穢跡金剛法を修したことが記されている。