白山神社 長崎県壱岐市石田町筒城仲触 旧・無格社
現在の祭神 伊弉諾尊・伊弉冊尊・正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊
本地
白山権現聖観音
彦山三社権現阿弥陀如来・釈迦如来・観世音菩薩

「壱岐続風土記」巻之百四
(石田郡筒城邑第二神社之部)

白山権現

白山権現 在筒城崎
所祭、伊弉諾尊・伊弉冊尊・正哉吾勝々速日天忍穂耳尊也。 (御霊形石坐内中尊可七寸左右可五寸)
 御殿(午未向) 板葺 (梁行弐尺三寸八分余桁行弐尺四寸五分余)
 拝殿 茅葺 (梁行壱丈三尺桁行壱丈九尺三寸余 去本社東可六町)
 木鳥居 一基 (去拝殿二十二間五尺五寸 去参口五十七間四尺壱寸)
 境内 (東西壱町十壱間南北三十九間 周囲八町三十九間)
当社縁起云、夫鎮西壱岐の州、筒城山白山権現と申奉るは、垂迹菊理媛命にて、本地聖観自在菩薩を鎮座し奉る処の霊地なり。 爰に仁皇九十二代後伏見院第六の皇子助有法親王、彦山座主院の職に任す。 修験正流の法頭とす。 仁王九十五代後醍醐天皇御宇嘉暦三(戊辰)年初冬、三五暁に何処よりともしらず壱人の老翁来りて曰、是より西に当りて一つの島あり。 三身応化の山にて、往昔弥陀・釈迦・観音の三尊示現の霊地也。 此処に今、彦山権現の神を移し奉らば修験の法性を磨き、衆生済度の利益ならんかしと云訖りて、跡なし。 座主助有奇異の思ひをなし、其処を尋ぬるに、西海の西に当りて、壱岐の州筒城山といふ処に白山権現鎮座まします。 是神地無双の浄境なり。 遥に客芸を絶し、高山峩々として万樹森々たり。 巌岩峨々として緑苔青々たり。 蒼海に近く摂し、全児浮荼落山のごとし。 是、吾彦山権現の慈母妙躰安座にて御座すよし語り伝ふといへり。 則其処に彦山三社権現の垂迹、伊弉諾尊・伊弉冊尊・正哉吾勝々速日天忍穂耳尊の三神、本地弥陀・釈迦・観音三身を勧請し奉り、白山権現と相殿に鎮座し、神社を建立し、彦山より修験の僧を遣し、筒城山宮司勢住とするなり。 今、池田高山の宗勝、今鯨伏伊賀多喜貴玉三人の行者を遣し、三山に彦山権現の神社を造立し、宝鼎の三足のごとく伊字・三点・三諦・三観を表しぬ。 三僧を三所の宮司として尊敬し奉り、仏日増輝神力自在にして、天下泰平・国家安穏・領主長官戈□□長久・孫子繁栄・万民豊楽・百穀成熟の丹誠を致し、千鶴万亀の代を祝するものなり。