菅原神社 大阪府堺市戎之町東二丁目 旧・郷社
現在の祭神 菅原道真・天穂日命・野見宿禰
本地 十一面観音

「和泉名所図会」巻之一

天神社

戎町の東にあり。威徳山常楽寺と号す。天台宗。宗祖伝教大師。
聖廟の御神容は菅丞相筑紫大宰府に謫遷おはしますのとき自神影を彫刻し給ふ七天神の其一也。 延喜年中当津の海浜より上らせ給ふ。 即民間に霊祠を営て庶民渇仰する所。
一條院御宇長徳二年丙申正月十八日寅の一天に奇瑞あつて宝殿おのづから開けて神躰飛行し当社紅梅の樹頭に止とゞまり給ふ。 貴賎群集して奇徳の思をなす。 其より当寺に鎮座し奉り神殿巍々として利生霊験新なる所一歳の兵燹に罹って烏有とならせ給へば神影は民家の手にわたらせ給ふ。 明暦三年北荘産子として造建ありて古の如く御鎮坐し奉る也。
或曰、当社はむかし塩穴郷湊村にあり。 故に塩穴天神と称す。 中古北荘今の所に勧請す。
文明二年【菅原為長卿の記】云、和泉国毛須・深井・草部・土師・向井・塩穴・高石は菅家の祖神天穂日命已来の旧領也。 為長卿真蹟今菅家五條殿にあり。 塩穴天神宮は即天穂日命の神廟に後世菅神を併奉りこゝに御鎮座なし奉るものならんか。 常楽寺は、古摂州朴津郷にあり。
本社天満宮 相殿春日大明神、十一面観世音 当宮の本地仏也。
拝殿 神楽所、片間にあり。
連歌所 毎月二十五日興行す。
影向の梅 本社の乾にあり。紅梅なり。
鳥居 本社の前にあり。額天満宮。
伊勢両宮 本社の東にあり。
白太夫社 本社の前にあり。
末社 荒神祠、梵天王社、多賀社、蛭児社、大黒天、春日社、熊野権現、祗園社、弁財天社、舟玉社、八幡社、稲荷社、愛宕社、金比羅社。
金銅燈爐 二王門の前にあり。
坊舎 六坊。西座六坊。
金堂 中尊阿弥陀仏、左大日、右釈迦。
護摩堂 不動尊、観世音、薬師如来、元三大師を安す。
鐘楼 本堂の前にあり。
二王門 表に二天。裡に門の神。額威徳山。榎並正氏の建立。
和泉式部の塔 本社の巽にあり。由縁詳ならず。