諏訪社 長野県下伊那郡天龍村神原 旧・村社
現在の祭神 健御名方命
[配祀] 須佐之男命
本地 普賢菩薩

「日本の神々 9 美濃・飛騨・信濃」

坂部諏訪神社(大澤和夫)

 当社の祭神は健御名方命であるが、村人によれば十七神であるとも、お諏訪様をはじめとして大神宮様・宮土公様・二宮様・日月様・関様・八坂様・秋葉様・金毘羅様・山の神様・津島様・神楽様・若宮大明神・稲荷様・社守・棒振様・宮天狗・大杉様・ネギドノなど二十五神であるともいう。 この中には旧家の関家と熊谷家の神があり、村の神もある。
 諏訪神社は「下の森」と「上の森」の二社から成っており、旧村社で、坂部の氏神とも産土神ともいわれている。 下の森の社は坂部小学校の傍に鎮座し、冬祭の面形が祀られている。 面形は火王様・水王様・鬼神・天公鬼・天狗などであり、それぞれ冬祭の重要な神々である。 一方、上の森の社は諏訪神社の本社にあたり、部落の北800メートルの大森山という杜の中にある。
 諏訪神社には年五回の祭礼がある。 すなわち正月の祭、四月三日のお節供祭、七月十四日の祇園祭、十月十八日の秋祭、一月の冬祭であるが、もちろん一番の大祭は冬祭である。 この祭は「霜月祭」とも呼ばれ、太陽の最も弱まる時期に神を祭って人々の生命の復活を祈るものであった。 今は新暦の一月四日・五日に行なわれ、古式を多く伝える祭典として国の無形文化財に指定されている。
 『熊谷家伝記』によれば、文和二年(1353・北朝年号)に坂部開祖の熊谷丹甲貞直が土着したとき、先住の老婆が信仰していた普賢菩薩像を祀ったのが当社の始まりで、その普賢の垂迹こそ諏訪大明神であるという。 また『関家伝記』によれば正平年間(1349-70・南朝年号)の創祀であるという。