高雄神社 福井県福井市本堂町 旧・村社
現在の祭神 伊弉冊尊
[配祀] 天忍穂耳尊・大己貴命
本地
伊弉冊尊十一面観音
天忍穂耳尊聖観音
大己貴命阿弥陀如来

高雄神社参拝のしおり

 十月九日、十月の秋祭りには、大鳥居の前に、高雄大権現と南無薬師如来の幟が高くはためき、夜・昼二回のお獅子渡りには、猿田彦大神 天鈿女命と書かれた大提灯がつづきます。 境内の石段をのぼりつめた正面が高雄大権現です。
 祭神の伊弉冊尊、天忍穂耳尊、大己貴命の本地、十一面観世音、聖観世音の二菩薩、阿弥陀仏の三尊立像を御安置します。 高雄大権現の向って右が宵宮で、猿田彦大神、天鈿女命の男女二神をお祀りし、御幣をつけた鼻の長い男神と、獅子頭の女神が御神体です。 宵宮の右が、松谷の宮の観音堂で、祭神は伊弉冊尊ですが、本地の聖観世音菩薩立像を御安置します。 観音堂の横にある笏谷石の七重石塔は、第一段の三面に、薬研彫の阿弥陀仏、観世音と大勢至の二菩薩の種子があり、正応三年(1290)の銘をもち越前最古の塔です。
 さて 高雄大権現の左の薬師堂は、中央に大国主命、左に春日明神、右に応神天皇を祀り、それぞれの本地仏の薬師如来坐像、釈迦如来立像、男神立像を御安置します。
 これら四社殿は、もと各字にあり明治四十一年十一月二日に合祀されました。 高雄大権現略縁起には、養老元年(717)三月、高雄山上で、三十六歳の泰澄大師が一刀三礼して彫刻されたと伝えています。 大師は、十一面観世音菩薩の願力で、憎しみと争いの修羅の苦しみを救い、聖観世音菩薩の願力で、飢渇の餓鬼の苦しみを助け、阿弥陀仏の願力で、浄土へ迎え、限りない光と命を与えようと願われました。
 越の大徳、泰澄大師は、麻生津に生まれ、白山、越知山、文殊山など多くの山を開き、元正天皇の御不予を平復し、流行の痘瘡を治療し、諸国に多くの寺をたて、人々を教化されました。 三十三年ごとに、御本尊の御開扉があります。
 薬師堂の薬師如来は、十二の願いをおこし、人々に健康と長寿を与え、釈迦如来は、五百の願いをおこし、正しい生活を教え、この世の平和を護ってくださる仏様であります。
 宵宮の行事であるお獅子渡御由来は、むかし人身御供の幼児を食べていた怪物が、村内の人々を悲しみと恐怖におとしいれたとき、猿田彦大神(一説には、その子孫の武士)、天細女命が、この怪物を退治された恩に報い、功をたたえて二神をお祀りします。