鳥越神社 東京都台東区鳥越2丁目 旧・郷社
現在の祭神 日本武尊
[配祀] 天児屋根命
[合祀] 徳川家康 <松平神社>
本地 馬頭観音

「御府内備考続編」巻之二十二

鳥越大明神社(浅草元鳥越)

当社は今の森田町旅籠町辺より三味線堀辺まて悉く社地なり、故に三味線堀は御手洗なりと云伝ふ、 古は境内に熱田大明神第六天神の二社ありてすへて鳥越三所明神と申ける、
[中略]
○本社(二間四方) 幣殿(二間九尺) 拝殿(間口四間、奥行二間半)
  祭神日本武尊、相殿天児屋根命
○祭礼、古例隔年六月九日、氏子町中神輿渡し候処度々類焼相休申候、
[中略]
○社伝
鳥越社に祭り奉る御神は人皇十二代景行天皇の皇子日本武尊にてまします也、 此尊東夷征伐してかへり給ふてより後、八尋の白智鳥となりてとひさり給ひしにもとつき、此皇子を祭れる所を鳥越と申ける也(河内国志貴に白智鳥の陵有り、古事記に委し)、
[中略]
又相殿に祭奉る天児屋根命は五十四代仁明天皇の御宇藤原氏の盛なりしにより、此国まてもかの氏の祖神を崇ける也、 旧地は下谷三味せん堀辺より杜田町旅籠町辺まてすへて社地にして、その内末社に熱田大明神第六天神ありしを元和六申年浅草御米蔵はしめて御造営のとき、 御場所地形の土不足なりしを幸ひ鳥越境内は小山なれはとてその土を御用にめしけるにより御普請成就の御祈祷のうへ、社の土御もちひになりて御普請とゝのひたりし也、 是によりて当社を御蔵の守護神と世に申なり、
[中略]
○別当鳥越山長楽寺(境内年貢地百七拾七坪五合五夕四才) 高野山金剛三昧院末京都嵯峨転輪院永院室兼帯、
[中略]
○鳥越大明神 本地馬頭観音(厨子一尺四方、長四寸七分)
○護摩堂(土蔵、二間半四方、拝殿付)
  本尊不動尊(立像、二童子付) 弘法大師像(厨子入)