椿神社 | 滋賀県甲賀市甲賀町隠岐 | 旧・郷社 |
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現在の祭神 | 神日本磐余彦尊(神武天皇) [配祀] 宇多天皇・佐々木五郎義清 |
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本地 | 薬師如来 |
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(1) 本地仏像の成立—多度神宮寺伽藍縁起資材帳』を中心にして
もとは神社や神宮寺の本地仏であったと伝える尊像の遺品は9世紀末、10世紀初頭からみられ、それらに徴するかぎり、この時点の本地仏はいずれも薬師仏として造立されたと考えてよいようである。 たとえば9世紀末から10世紀初頭の制作と推定される旧若王寺の本地仏薬師坐像(現奈良博)、滋賀県甲賀郡椿神社の本地仏坐像(現大岡寺)、10世紀前半と推定される同じく滋賀県飯道神社の本地仏薬師坐像(現大日堂)、10世紀後半と推定される京都田辺町甘南備(かんなみ)山の本地仏薬師坐像(現甘南備寺)などが早い例である。
[中略]
(3) 調査作品目録
A 本地仏像
- 京都市上醍醐寺清滝宮本地仏如意輪観音坐像(11~12世紀)
- 京都府田辺町甘南備神社本地仏薬師坐像(10世紀)
- 亀岡市出雲神社本地仏薬師坐像(10世紀)
- 京都府丹波町新宮寺熊野神社十二所権現本地仏十二躯(12世紀)
- 京都府北桑田郡西乗寺(八幡宮)本地仏十一面・阿弥陀・薬師像(13~14世紀)
- 滋賀県大日堂(飯道神社)本地仏薬師坐像(10世紀)
- 滋賀県大岡寺(椿神社)本地仏薬師坐像(9~10世紀)
- 滋賀県建部神社本地仏薬師坐像(11~12世紀)
- 滋賀県聖衆来迎寺(愛宕神社)本地仏地蔵菩薩(元徳2年、1330、仏師院芸作)。
- 三重県神宮寺(現耕三寺)本地仏釈迦(あるいは薬師か。10世紀)
甲賀市甲賀町 大岡寺
木造 像高132.0
平安時代(九~十世紀)
大岡寺の飛地境内にある薬師堂の本尊だが、薬師堂は椿神社に隣接し、椿神社の別当寺とあったというから、本像は椿神社の本地仏と考えられる。 椿神社は、壬申の乱のとき大海人王子が椿樹の洞に隠れて難を免れたその場所に祠が建てられたことに創まるという。 隠岐、神保の総社とされ、正二位大明神と号していた。