剣神社 福井県丹生郡越前町織田 式内論社(越前国敦賀郡 剣神社)
越前国二宮
旧・国幣小社
現在の祭神 素盞嗚尊
[配祀] 気比大神・忍熊王
本地 不動明王

「塩尻」巻之二十五

○越前国織田庄剣大明神の供僧、神前院の僧同国大野大法寺の慈覚によつて尋ねて曰、 神前院古記の中に享徳年中尾張国万徳寺の長慶上人来りて、織田の本宮剣大明神の御本地不動明王を鋳て、開眼供養せし事あり。 貴国万徳寺といふ寺ありや、長慶如何して来れると。 予一紙に書して送る、左のごとし。
享徳後花園院、年号将軍義政治世の時にて、越前国は此時斯波家の領也、従三位義郷の子千代徳丸義健の代にあたる歟。 尾張国もまた代々斯波家の処分にして、家光織田氏中島郡国衙庄松下の城に在て国務を進止せり。 越前が織田の本国、剣の宮は其本居の神なる故、代々崇仰他に異也。 我国長野村石徳寺は古迹密院にして、長慶は其中興已来六代の院主なり。 此寺国府の領にあり、織田氏の祈願所なりし、是を以て按ずるに、当時剣の社本地の形像開眼の時、織田氏よりはからひ、長慶を遣はし供養を為しが、猶万徳寺の僧に問ひ重ねて記し送るべきもの也。  天野信景考
如此書て贈りし。 按ずるに剣明神とは、延喜式ニ越前国敦賀郡四十三庄ノ中剣神社といへる、是なりか。