内浦神社 北海道茅部郡森町砂原4丁目  
現在の祭神 事代主神・素戔嗚命・稲田姫神
本地 観世音菩薩

菊池展明「円空と瀬織津姫」

蝦夷地の観音たち──背銘が語る円空の足跡

「うちうら百年本地」も座像観音で、これを神体とする内浦神社についても、菊池の神社(神体)調べおよび祭神決定があった。 菊池は内浦社の項で、祭神を「事代主神、素戔嗚命、稲田姫神」と決定したが、その神体については、村役人の「申出」として、「荒木」で「毘沙門の形」をした木像であると記している。 「申出」とあるように、菊池はこの像を自身の眼で検分したわけではなかった。 内浦社の神体は、毘沙門ではなく観音であることが確認されている。 この像も、「昨辛未(明治四年)八月上方ヘ為登候旨申出ル」と書かれ、これも諏訪神社とよく似た話で、しかし、円空の神体像=観音は、かくして、ここでも守られたということなのだろう。
 内浦神社は内浦岳(駒ヶ岳)を神体山とする、まさに山岳信仰の社である。 砂原町側からは内浦岳と通称し、ほかは駒ヶ岳というほうが通りがよい。 拝殿前には神を護るために狛犬が配置されるのが一般だが、内浦神社は、羆(ヒグマ)が狛犬の代わりに内浦岳(駒ヶ岳)の神を護っている。