八宮神社 埼玉県比企郡嵐山町広野 旧・村社
現在の祭神 建速須佐之雄命・大己貴命・稲田姫命
本地 摩利支天

「埼玉の神社 大里・北葛飾・比企」

八宮神社

  嵐山町広野927(広野字深谷)

歴史

 当社の由緒は『比企郡神社誌』に「本社は清和天皇の貞観十年(868)本郡小川町下里の八宮神社を総社として近郷七ヶ村に分霊を祀るといふ。当社は其の一社として鎮祭し、爾後、承平年中(931-38)源経基公東征の際当社に戦勝を祈願せしと伝ふ」とあるのが最も詳しく、『明細帳』では「由緒 不詳」としか記されていない。 『風土記稿』には「八宮社 村の鎮守なり、泉覚院持」「泉覚院 本山修験、男衾郡板井村長命寺配下、本尊不動を安ず」と載る。

信仰

 『明細帳』による祭神は、建速須佐之雄命・大己貴命・稲田姫命の三柱で、拝殿兼覆屋の中には本殿が三座ある。 中央にある本殿はひときわ大きく、両脇にある本殿(左右とも同型)はかなり小さい。 恐らく、中央の本殿には主祭神として建速須佐之雄命を祀り、左右の小さい本殿には大己貴命と稲田姫命を配祀する形となっているものと思われる。 ただし、現在も使われているのは中央の本殿だけで、その内陣には本地仏の摩利支天像と、古風な幣束(年紀はないが江戸時代のものと思われる)と共に三柱の神を表した三連の幣束が祀られている。 摩利支天像は年紀はないが、神仏分離以前から安置されているもので、拝殿内にはこの像を描いたと思われる額(昭和七年と十一年のもの二枚)も奉納されている。