八宮神社 埼玉県比企郡小川町小川  
現在の祭神 正勝吾勝勝速日天忍穂耳命・天之菩卑能命・天津日子根命・活津日子根命・熊野久須毘命・多紀理比売命・市来嶋比売命・多岐津比売命
本地 愛染明王

「新編武蔵風土記稿」巻之百九十三
(比企郡之八)

小川村

八宮明神社

村の鎮守なり、 祭神は国狭槌尊・豊斟渟尊・泥土煮尊・沙土煮尊・大戸道尊・大戸辺尊・面足尊・惶根尊の八座なりと云、 今本地愛染を置り、 勧請の年代は詳ならざれども、元和三年再建の棟札あれば、それより前の鎮座なりしことしらる、
別当休蔵寺 本山派修験、葛飾郡幸手不動院配下なり、愛染山と号す

「埼玉の神社 大里・北葛飾・比企」

八宮神社

  小川町小川990(小川字中郷)

歴史

 創建については、『風土記稿』に「勧請の年代は詳ならざれども、元和三年(1617)再建の棟札あれば、それより前の鎮座なりしことしらる」とあるのが、最も詳しい記録である。 ただし、この記事に見える「元和三年再建の棟札」は現存していない。
[中略]
 当社の祭神は「五男三女神の八柱の神」と伝えられ、一般に"八宮"の名は八柱の神を祀ることを意味すると説かれる。 しかし、「五男三女神」の具体的な神名については諸説あり、『明細帳』では「天照大御神御子五柱・月読尊御子三柱命」、『風土記稿』では「国狭槌尊・豊斟渟尊・泥土煮尊・沙土煮尊・大戸道尊・大戸辺尊・面足尊・惶根尊」、『比企郡神社誌』では「正勝吾勝勝速日天忍穂耳命・天之菩卑能命・活津日子根命・多紀理毘売命・多岐津比売命・天津日子根命・熊野久須毘命・市来嶋比売命」とされている。 また、当社の本地仏は愛染明王で、現在も内陣に安置されている像高33センチメートルの愛染明王座像については『風土記稿』にも「今本地愛染を置り」との記述がある。 内陣には、この座像と共に貞享元年(1684)銘の棟札も納められており、その表側には「本地金剛界大日如来」裏側には「奉灌頂愛染明王天長地久国土安全修」の文字が見える。