『壁際の名言』
唐沢俊一(著)
[幻冬舎文庫版は『ダメな人のための名言集』と改題]
海拓社, 2003.07
幻冬舎, 幻冬舎文庫, 2005.08
内容
  1. 全ての努力がムダになったとき、つぶやいてみたい名言
    1. 私を見なさい。無一文から身を起こして、独力で今の極端な貧乏にまでなった男だ。
      (グルーチョ・マルクス)
    2. ごらん、ほめるとどうなるか。
      (ウーピー・ゴールドバーグ)
    3. 仕事ほど私を魅了するものはない。私はそれを座ったまま何時間でも見ていられる。
      (ジェローム・K・ジェローム)
    4. もう少しうまくなってから練習したほうが……。
      (のび太 『ドラえもん』
    5. 芝居は終わっていない。幕を下ろすな!
      (勝新太郎のそっくりさん 心臓マヒで舞台で倒れて
    6. SFはSFと結婚する、SFの血はだんだん濃くなる。
      (とり・みき)
    7. それにしても、見も知らぬ老人の一言で、殺人を決心してしまうような「明るい性格」の「のんきな男」というのは、私には耐えがたい。第一、かかわりあいになる方が迷惑である。
      (『走れメロス』を評して〜寺山修司『歩けメロス』)
    8. この怪物は、1950年代後半に公開された数多くの低予算SFモンスター映画の一つである。しかし、地球の直径が約一万三千キロしかないのに、海底一万リーグというのは、この生物も辛い目に遭ったに違いないという点は指摘しておかねばならない。
      (ジェフ・ロヴィン 『怪物の事典』
    9. 自然界でも、人間の世界でも、より優れた子孫を残そうとして、結婚相手により優れた相手を望むのが常です。私も、可能であれば、より優れた女性との間に子孫を残したいと思ってい、その相手を求めています。人間の能力は遺伝による部分は少なく、育った環境の影響が大きいという説もありますが、私は遺伝や血統を信じています。
      (某HPの開設者が掲げているメッセージ)
    10. 狼が異なった意見を持っているのに、羊たちが菜食主義に賛成する決議をするのは無駄なことである。
      (イング)
    11. 某日、軽井沢のログハウスで休息。ただし原稿二つ。夜、東京へ帰って長編映画のビデオを二本見る。朝、放送局の番組審議会に出席のあと、FMラジオ番組の録音二時間半。その後、沖縄出発。夜、ホテルで原稿を書き、翌朝飛行便でそれを送ったあと、飛行機と船を乗り継ぎ、日本最南端の小島へ渡って特別番組取材。翌日東京へととって返して午後二時、映画の試写数本。夜はモスクワ・オペラ。翌朝、『月曜ロードショー』用の映画を見る。昼はラジオ『子供電話相談室』生放送。NHKホールでN響定期演奏会を聞いて、寝台列車"天の川"に乗り、翌日フェリーで佐渡へ。"観光とは何か"を講演後、土地の人々との会談。その夜、新潟へ戻って原稿書き、翌朝は長野県との境にある山の里、津南で山菜の取材。熊の肉を味わうのが楽しみの旅だが、ゆっくりする間もなく夜、車で東京へ走り帰り、翌日一日は仕事場で書き下ろし本の原稿執筆。その翌日は大阪へ行き、テレビのトーク番組を二本、収録したあと、見逃した映画を封切り館で見て、京都の仕事場で泊まる。翌朝新幹線で東京へ戻り、一時の試写、三時のラジオ番組録音。夜は仕事をしながら対談、その翌日は都立大学で三時間ぶっ通しの講義を昼夜二回。
      (荻昌弘 『荻昌弘の映画批評真剣勝負』から『或る映画評論家の生活と意見』より要約
    12. もはや、わけが判らなくなってしまいました。狂人どもは、私をつかまえて狂人であると言う。狂人が狂人でないか、狂人でないのが狂人であるか、もはや私にも判らなくなってしまった。
      (徳川夢声 『狂人病院』
  2. 世の中全てに毒づいてやりたいときに使える名言
    1. おまえら、せいぜいまずいものを食って長生きしろ。
      (尾崎紅葉の遺言)
    2. このような頽廃的な歌が流行ったから大震災が起こった。
      (幸田露伴 「船頭小唄」流行の後に関東大震災が起こったことについて
    3. 生まれることは不幸であり、生きることは苦痛である。死ぬことは厄介である。
      (聖バーナード)
    4. カマボコって、オトトかしら?
      (ある女優 カマトトの語源
    5. よいお世辞があれば、2ヶ月はそれで生きられる。
      (マーク・トウェイン)
    6. 人はその敵を許すべきである。ただし、その敵が縛り首になってからだ。
      (ハインリッヒ・ハイネ)
    7. こういうのを大学出の与太郎てえンです。
      (六代目 三遊亭圓生)
    8. 大分前だがどこかに、赤ん坊の上手な育て方というのが出ていた。先ず赤ん坊にでんでん太鼓なぞを見せる時には、生後何日かで、赤ん坊の視線はそのころにはどの位の高さに行くのが無理がない、とか、いろいろとむつかしいことが書いてあった。そうして、その「しちむずかしい」規則の通りにして育ったのだ、という三歳位の女の子の写真が出ていたが、智能の低そうな、ポカンとした女の子だった。こういう難しい遣り方で育てれば、こんな莫迦みたいな女の子に育つのかと、私は感に堪えたのである。
      (森茉莉 『ドッキリチャンネル』
    9. 巾着切り、車夫、祭文の倅、芸者、縁日のろくろ首、××・△△・○○の三夫を経て□□の女房……。
      (大正時代の雑誌『うきよ』に載った人気浪曲師たちの前身のスッパ抜き)
    10. 寺本すみえは女の子にしてはいかつい顔をしていた。油性で、怒り眉で、赤ら顔で、足が太くて、ゆびが短くて、ウエストが太く、ズン胴で、毛深くてニキビができていて、髪が少なくて、目が細く、ダンゴっパナで、ソっ歯で、口が大きく、あごが張っていて、ガニまたなのであった。
      (川上宗薫 『デッカクいこう』)
    11. バカ、ケチ、ナマケは酢を飲まない。
      (長田正松)
    12. 私が行きたいのは地獄であり、天国ではない。地獄へ行けば歴代の教皇、国王、皇太子と一緒になれるだろうが、天国には乞食と修道士と使徒しかいないのだから
      (マキャベリ 遺言
    13. 私たちは、大学で高い学問をしてゆけるだけの頭があるかどうかを試すための問題を出すのであって、低能児のテストをやるのではない。
      (小西甚一 『古文研究法』前書き
    14. そもそも女はぎゃっと生まれて蛇体の形つくるもの、頭に八本の角があり、口に二枚の牙があり、髪を結うのは伊達では結わぬ、天菩薩を呪うため、前髪出すのもその通り、嫁入り婚礼のその時に角隠しをばするでないか、歯を染めるは二枚の牙を隠さんため、男と違って女の体、幅広帯を背中に大きく結ぶのは、五枚の鱗を隠さんため。
      (天中軒雲月 『小栗判官』
  3. 自分ははたしてマトモなのか?と疑問をもったときに出合いたい名言
    1. 両家を代表いたしまして……両家と言ってもうちだけでございますが。
      (貴山祐哉・父 内田春菊と息子の披露宴に際して
    2. 『詩』 一人の心に灯をともす 別の一人に欠伸をさせる
      (堀口大学)
    3. 貧乏人は安いものが好きだ。そして金持ちは貧乏人よりさらに安いものが好きだ。だから金持ちになったんだ。
      (マツモトキヨシ)
    4. 東インドのコノハチョウは神経質なタイプだ。羽を体の上でたたみ、茶色の側を外に向け、首をすっこめて、一日じゅう小枝にしがみつく。こうすると枯葉そっくりに見えるので、敵からは安全だと信じこんでいる。あいにくこれが、枯葉をまねしようとしているチョウそっくりにも見えるのである。
      (ウィル・カッピー 『カッピーの動物百科』
    5. 後姿が立派な野郎なんてものは間違った野郎なのかもしれない。
      (徳川夢声)
    6. 学士未だその楽しみを知らざるのみ。
      (雨森芳州)
    7. お前もっと人の気持ち考えた方がいいぞ。もっと他人の痛みを知る女になれ! もっと好き嫌いを言わない女になれ〜!
      (華倫変 『カリクラ』より『AV』
    8. 電車の中の一箇のなまめかしき静物--女 この静物は林檎よりも描きにくい。まらがたつだけに。
      (村山槐多 詩集『槐多の歌える』
    9. お前たちが人間と似ているからだ。人類は猿から生まれた。猿の部分がまだ人間の内部にはある。野獣は鞭で屈服させるべきだ。鎖でつなぎとめるべきなのだ。お前たちの持つ野獣性は人類の汚点だ。われわれはそれを憎む。自分の醜い部分を憎むのと同じなのだ。
      (ブレック知事 『猿の惑星/征服』
    10. 人種の高等下等は、その人種のお便所の作り方でわかる。
      (木村徳三 『人類と生物の歴史』
    11. 「おまえの心は悪徳で汚れている」「否定はしないよ」「お前の母は売春婦だ」「よく知っているな」
      (『バクダッドの盗賊』より)
  4. 善人すぎる彼(彼女)に一言、言ってやりたいときの名言
    1. バレなきゃイカサマじゃあないんだぜ
      (空条丈太郎 『ジョジョの奇妙な冒険』
    2. 大抵の人間は、大抵の場合、だませる。
      (P・T・バーナム)
    3. 子供と犬が嫌いな人間に悪人はいない。
      (W・C・フィールズ)
    4. 立派な芸人になりたかったら、まず人にたかれ。それから、女に貢がせろ。それも出来なかったら……泥棒しろ。
      (立川談志)
    5. 確かに盗作した。だが俺の書いたものの方が面白い。
      (アレクサンドル・デュマ(父) 盗作の疑いで裁判にかけられて
    6. 金が欲しければ道ばたで片足を上げて小便しろ
      (佐久間象山)
    7. 英国人なればとて文学上の知識に於いて必ずしも我より上なりと思ふなかれ、彼等の大部分は家業に忙しくて文学などを繙く余裕はなきなり。
      (夏目漱石)
    8. 嫌いだから別れたんだ
      (つかこうへい)
    9. 常使民無知無欲 使夫知者不敢為也
      (老子 第三章
    10. 政治家に必要なのは5年後、10年後のことを予想出来る才能であり、かつ、それが外れたときに言い訳が出来る才能である。
      (チャーチル)
    11. 異星人や超能力の存在を信じないでください。そうすれば、私たちは予定よりもっと早くに、異星人や超能力を知ることになるのです。
      (半村良 『UFOと超能力』
  5. このおかしな社会に意味なんてあるの?と叫びたいとき、座右に置きたい名言
    1. お母さんのウンコ友達ってマトモじゃん。
      (卯月妙子 『実録企画モノ』
    2. 純粋なバカ番組はふつうのバカ番組を駆逐する。
      (M・キットマン)
    3. 「言、分明なれば言葉少なし」というのは、いま私が作った古い中国のことわざである。
      (ドン・ヘロルド)
    4. この少女は、作品を単なる"好奇心"以上のレベルに高めるための、特別な観察力や感受性に欠けているように思われます。
      (『アンネの日記』の原稿を最初に読んだ出版社の編集者の言葉)
    5. 遠い過去からやって来た57億年前の銀河戦士 ラストエンジェルアーテンノー ラストエンジェルアーテンノー 地球に生まれて流離う神よ アンドロメダの宇宙皇子よ 守れ地球を緑の星を リンネ女王の旗の下に オーエンジェルラストエンジェル 宇宙光戦士アーテンノー
      (アーテンノー賛歌(ラストエンジェル) 某HPの開設者が新潟県弥彦村で宇宙人からチャネリングした歌
    6. 新聞に載るオレのコメントな、一人称が『オレ』って言うてんのに、なんで『ワシ』になってんねん。
      (清原和博)
    7. 欲の深きこと日本に双ぶ国あるまじ、只利口を面前に彰し、実義露もなし。
      (『新人国記』より 紀伊(現・和歌山県・三重県の一部)の国風について
    8. 少女と成女とを識別するの法種々ありといへども其の最も簡易なるは指頭を以て其尖頭に触れて之を検するにしくはなし。鼻尖頭の肉、両分指頭の触る所凹状を成したるが如きと覚ゆるは則ち成女の証なりとぞ。
      (処女の見分け方 『男女交合得失問答』
    9. 俺がギャグ漫画で成功した理由? ……あの当時ね、他にロクなのがいなかったの。
      (赤塚不二夫 唐沢のインタビューに答えて

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