巻之九十（多磨郡之二）

成瀬村

杉山社　 除地、二百坪、字上合にあり、 村の鎮守なり、 勧請の年代を伝へず、 社は南向にて上屋あり、 神体は唐冠を戴き、笏を持てる木像なり、長七寸ばかり、 按に杉山神社は、都筑郡にいます式内の神にして、祭神は玉大猛命［五十猛命］なり、 然るに当社の祭神は、座雲尊なりと云いふかし、 とにかくもこの木像は後に当社勧請の時、後世の衣冠の様を以彫刻せしものなるべし、 もと仏道行はれざる前は、像を用ふることなければ、古社には木像を以て神体とせざること勿論なり、 相殿二座左は神明、右は熊野にて、神体は二座ともに白幣なり、 社前に鳥居をたつ、 例祭は年々九月十九日、同二十日に行ふ、 図師村の修験大蔵院持、
末社稲荷社