@Molice p.71の「天狗」の項で、素戔嗚尊の体内の猛気が吐き出されて天狗神になった俗信の出典を平安時代の偽書『先代旧事本紀』としていますが、この記事は江戸時代の偽書『先代旧事本紀大成経』のものです。
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添付画像は『續 神道大系』論説編の「先代舊事本紀大成經(一)」より。 pic.twitter.com/Bvf2cEQjd3
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当該記事は諦忍の『天狗名義考』https://t.co/NgUmsoZbIh
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に「先代旧事本紀ニ曰」として引用されて広まりましたが、昔の書物では『先代旧事本紀大成経』を単に『先代旧事本紀』と記しているケースもあるので要注意です。
神祇伯王家伝来とされる通称『白河本旧事紀』(『旧事紀訓解』として公刊)の当該記事。https://t.co/bLaNFAwkhp
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『先代旧事本紀大成経』と比べると、大筋は一緒ですが、「天狗神」という呼称は無く、人身獣首で鼻・耳・牙が長い云々という記載も有りません。
『白河本旧事紀』における愛宕山の天狗神に関する記事。https://t.co/t0NxUzClcO
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『日本書紀』の月夜見尊と保食神の神話を全面的に改変し、国食保姫神(保食神に相当)を殺害した天人熊命が、軍幡→金色鳶→愛宕山の天狗神になりました。
『先代旧事本紀大成経』にも愛宕山の天狗に関する記事が有ります。
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愛宕山は「怨児山」と表記されていますが、これは火神である軻遇突智が母の伊弉冉尊に仇を為した「仇子」が「愛宕」の語源であるという説を取り入れたものでしょう。 pic.twitter.com/5sfLlnzQIG
寺島良安の『和漢三才図会』より、治鳥(附 天狗・天魔雄)の項https://t.co/qfaJX8eAlV
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「或書ニ云」として『先代旧事本紀大成経』の記事が引用されています。
同じく『和漢三才図会』より、鳶の項https://t.co/tDTvCwXMjd
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「或書ニ云」として『先代旧事本紀大成経』の怨児山の天狗神に言及。
ただし、原文では単に「磐余彦天皇時」でしたが、「神武天皇が長随彦と戦って…」と少し詳しくなっています。
鳥山石燕の『今昔画続百鬼』の天逆毎の項には、
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「或書ニ云フ。素戔烏尊ハ猛気胸ニ満チ、吐テ一ノ神ヲ為ス、人身獣首、鼻高ク耳長シ…」
とあります(角川ソフィア文庫『画図百鬼夜行善画集』より、p.127)。
天狗神の呼称は有りませんが、これも『先代旧事本紀大成経』系ですね。
@HisadomeK 訂正。『画図百鬼夜行*善*画集』は『画図百鬼夜行*全*画集』の誤記です。
— k.hisadome (@HisadomeK) 2016年5月28日
『先代旧事本紀大成経』『白河本旧事紀』における天狗神の記事が書かれている箇所は、通常の『先代旧事本紀』だとこの辺に相当します。https://t.co/p0Yd3AZnNc
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愛宕山の天狗神や素戔嗚尊の猛気には言及されていません。