単に軍神・八幡の霊威を増強する事が目的ならば、本地仏は大威徳明王(阿弥陀仏の教令輪身)でも良いはず。
— k.hisadome (@HisadomeK) 2018年1月4日
舩田淳一「頼助『八幡講秘式』と異国襲来」によると、愛染明王が鶴岡八幡の本地仏として選ばれたのは、舎利(=宝珠)を媒介として弘法大師・天照大神との四尊一体の信仰構造を確立するため。
仏舎利に対する信仰は日本では如意宝珠と結びつき、龍神信仰と習合するなど独自の展開を遂げました。
— k.hisadome (@HisadomeK) 2018年1月4日
仏教工芸史の方から舎利=宝珠信仰を一般向けに解説したのが内藤栄『日本の美術 No.539 舎利と宝珠』。空海を宝珠として観想する作法も紹介されています。 pic.twitter.com/X2yQ7uGNza
昨年読んだスティーブン・トレンソン『祈雨・宝珠・龍』も、中世真言密教における宝珠と龍神信仰を扱った本でした。
— k.hisadome (@HisadomeK) 2018年1月4日
具体的には、龍神を勧請して降雨を祈る請雨経法、醍醐寺の守護神である清瀧権現、空海が宝珠を埋納したと伝わる室生山信仰など。 pic.twitter.com/Xlv3maTM2m
例えば、名古屋の大須文庫に伝わる『スラム清瀧』という資料によると、醍醐寺の清瀧権現は両部大日如来の化身である准胝・如意輪観音の垂迹であり、両部大日如来は合体して不二の「宝体」(宝珠)の姿を取るそうです。
— k.hisadome (@HisadomeK) 2018年1月4日
山本ひろ子『変成譜』によると、天台記家の書『渓嵐拾葉集』に「辰狐者、如意輪観音化現也。以如意宝珠為其体故、名辰陀摩尼王也」(辰狐とは如意輪観音の化現であるため、如意宝珠を本体とする。だから辰狐を「辰陀摩尼王」と名づけるというのだ)と記されています。 pic.twitter.com/FpW3V7QmZF
— k.hisadome (@HisadomeK) 2018年1月5日
同じく『異神』によると、和製偽経『仏説最勝護国宇賀耶頓得如意宝珠王陀羅尼経』に宇賀神王(宇賀弁才天)は無量寿仏(阿弥陀仏)・如意輪観音・?枳尼天・聖天・愛染明王と同体であると説かれています。 pic.twitter.com/LdOATIkHHE
— k.hisadome (@HisadomeK) 2018年1月5日
このように、中世の顕密仏教・神道の世界では、宝珠を媒介に様々な神仏が習合しています。もっとも、個別の習合説は特定の儀礼(例えば「座不冷本地供」)の文脈中で成立するものなので、それを無視して複数の習合説を無批判に結び付けるとトンデモ本になりかねませんが。
— k.hisadome (@HisadomeK) 2018年1月5日