永井荷風『花火・来訪者 他十一篇』(岩波文庫)が届きました。
— k.hisadome (@HisadomeK) 2019年6月23日
海外怪奇幻想文学紹介の先駆者である平井呈一翁をモデルとした「来訪者」を収録。私は平成6年に新潮文庫の復刊フェアで出た『浮沈・来訪者』で最初に読みました。#日本怪奇幻想読者クラブ pic.twitter.com/BrnpCayQx1
「来訪者」で思い出すのは紀田順一郎先生の『日記の虚実』の「略して記さず」。荒俣宏(編)『大都会隠居術』の中に収録された一節の中に以下のように書かれています。
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"終りに近い部分で荷風が「京橋区湊町は越前堀のお岩稲荷の側」にあるという二人の隠れ家を探索にいく場面があるが、 pic.twitter.com/oUzeFPrLVs
(続き)お岩稲荷は昔から四谷左門町にあるものと相場が決まっている。こうした初歩的なミスが生じたのは、是が非でも二人の人物を淫靡かつ矮小な世界(ここでは怪談)に押しこめることで頭がいっぱいだったからであろう。"
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ところが、初歩的なミスは紀田先生の方だったのです。
四谷左門町には江戸時代からお岩稲荷が鎮座していましたが、明治12年に火災で焼失し、越前堀(現在の東京都中央区新川)に遷座しました。https://t.co/hJgXnXIluR
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一方、戦後の昭和27年に元の東京都新宿区左門町に再建されたのが現在の四谷於岩稲荷田宮神社です。https://t.co/cYs2Y0Pil4
つまり「来訪者」が書かれた昭和19年頃には、お岩稲荷は四谷左門町には無く、越前堀に鎮座していたのです。
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なお、『紀田順一郎著作集』第7巻に所収の『日記の虚実』では当該箇所は大幅に改稿されており、初歩的なミス云々の記述も有りません。 pic.twitter.com/QgIazdbrzm