OUT
平凡なパートパート仲間の主婦たち、彼女たちはそれぞれ不満やら問題を抱えていた。そのうちの一人、夫の浮気とギャンブルに悩む弥生がついに夫を殺してしまう。相談を受けた雅子は仲間とともに弥生を助け、夫をバラバラにして事件を闇から闇へと葬ろうとするが・・・

「OUT」は98年度版『このミステリーがすごい』で一位に輝き、TV化もされているのでご存じの方も多いと思う。わしは、小説の劇化(映画化も含め)というとどうしても原作から受けるイメージがつきまとって好きになれない。今回も実は、余り期待していなかった。ジテキンだからと行ったというのが正直なところである。しかも、「OUT」はミステリーである。どう考えても、ミステリーの舞台化は、死体の表現とか、大きな場面展開とできない等の制約がありつまらなくなってしまうと思っていた。
しかし、それは見事に裏切られた。いや、実にうまい。圧倒的な迫力で引き込まれ気が付くと2時間45分が短く感じられるほどであった。
鈴木裕美さんの演出を誉めるべきであろうが、それに答える役者のうまさも誉めたい。どちらが欠けてもつまらない舞台になってしまっただろう。特に、久世さんと小市さんの最後の対決シーンは言葉だけで綴られているにも関わらず、リアリティーを感じぞっくっとする。