透明人間の蒸気
天皇の勅命やらで二十世紀で消えてしまうものを集める怪しげな花岡軍医()たち。
彼らは20世紀の肉体を入れることも考える。標的にされたのは消えても誰にも心配いされない結婚詐欺師のアキラ()。アキラは鳥取砂丘まで逃げてきたところで、三重苦のヘレン・ケラ()と出会う。花岡軍医に捕まってしまうアキラだが、事故が発生する。しかし、その事故でアキラは透明人間になってしまう。透明人間のアキラが見えるのは三重苦のヘレン・ケラだけであった・・・。

初演も昨年の青山劇場の舞台も観ていますが、今回大きな違いがありました。最後のアキラの長セリフが削られていました。その関連なのか会場の都合なのか、流血を噴水で表現したシーンもありませんでした。このシーンは芝居のどんでん返し(アキラもヘレンも死なない)になる箇所で作品全体のイメージも変わるだけに削られたことに違和感を感じました。今回の終わり方では悲劇であり、救いがない。野田さんが最後を変えたのは何故でしょうか?もしかしたら、初演時に希望を込めた21世紀の現状の変化の無さに絶望を感じての皮肉だったのでしょうか。
個人的には、アキラに最後の長セリフを削って欲しくなかったです。