研究ノート
パウリの排他原理のモデル化
2026.3.10 改訂
2025.8.1
五十川晋一
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目的
質量を持つ物質に働く重力(万有引力)や電荷を持った物質に働くクーロン力は近接作用と呼ばれている。
万有引力の公式を以下に示す。
| F = Gg・(m1・m2) / L2 F:万有引力 m1、m2:物体の質量 L:2物体の重心間距離 Gg:万有引力定数 |
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この式は力とその他の物理特性との関係を示しているが、力自体の発生メカニズムは不問にしている。
また、ニュートンが前提とする重心とは数学的に長さを持たない点であるのに対し、L:距離を分母に置いている点で矛盾が存在する。
この為、2物質間の距離がゼロでは重力は無限大になるという、数学的性質を抱えていると言える。
クーロン力の公式を以下に示す。
| F = 1 / 4πε0 ・(q1・q2) / L2 F:クーロン力 q1、q2:粒子の電荷 L:2粒子間距離 ε0:誘電率 |
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この式は万有引力と同様に力とその他の物理特性との関係を示しているが、力自体の発生メカニズムは不問にしている。
万有引力の公式と異なるのは、q1、q2の正負号が同じ場合は斥力、異なる場合は引力となる。
パウリの排他原理とは、2つ以上の電子は同一の状態を占めることはできない、とされている。
電子が2個存在する場合、両者は同じ電荷と質量を持つが、お互いに相手と反対の状態を持つと説明されている。
量子力学ではこの状態の違いを表現する為にスピンの向きという概念が用いられている。
電子同士は接触したり合体する事が無く、電子間には引力が働くが、ある至近距離を境に斥力に転じると言われている。[1]
ここには両電子の状態がある条件を境に逆転する仕組みがあると考えられる。
筆者は先に物理機能モデル手法を用いて重力発現モデルを作成した。
本報ではクーロン力の近接作用を二つの電子に働く重力(万有引力)で代表させ、パウリの排他原理のモデル化を試みる。
なお、物理機能モデル手法の詳細は補足資料に示した。
もくじ
●柔らかい物質について
●エネルギについて
・物質に蓄えられるエネルギ
・内包量と外延量について
・熱エネルギと力エネルギ、位置エネルギの等価性
・力学エネルギと熱エネルギの関係
●パウリの排他原理のモデル化
・スピンに代わる状態量
・伸縮による二態
・引力から斥力に転じる閾値
・伸縮による粘性の発現
●机上実験
・実験用モデル
・パラメータ
・試験条件
・結果
●考察
・パウリの排他原理の役割と解釈
・粘性の役割と解釈
・量子力学との対比
・絶対零度近傍についての考察
・力学と電磁気学の相似則
・電流の力学的解釈
・超伝導現象の解釈
●まとめ
●参考文献
柔らかい物質について
Fig.1参照
物質は点ではなく、長さ(空間)を持つ。
密度は均一ではなく、質点(重心)は物質内を移動する。
力fは質点に作用する=ニュートンの運動の法則
復元力fiは相対速度vrによって生じる=フックの変形の法則
物質は変形=伸縮しながら運動する。
これは物体全体が運動するか否かに関わらず、物体内部で質点が運動していると言う事である。
柔らかさ=柔性とは剛性の逆数であり、相対的なものである。
物質の質量に対して相対的な柔らかさという意味である。
こうした見方をする時、物質は粒子と波動の性質を併せ持つ。[2]

Fig.1
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エネルギについて
●物質に蓄えられるエネルギ
物質全般は絶対零度以上の温度にあるとき、熱エネルギを蓄え、かつ伸縮している。 *1
まず、伸縮している物質の力学的エネルギEは以下のように定義される。
| Ev = 1/2 m・v2 |
Ev:速度(運動)エネルギ、m:質量、v:バネ端部速度 |
(1.1) |
| Ef = 1/2 H・f2 |
Ef:力(変形)エネルギ、H:柔性、f:バネ復元力 |
(1.2) |
| E = Ev + Ef = const. |
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(1.3) |
上式は力学の双対性を現し、式(1.3)は対になったエネルギの和は常に一定となる事から、伸縮する物質に限ったエネルギ保存則と呼べる。補足資料1参照
次に、物質は絶対零度 0(k)=(-273.15℃)以上で熱エネルギEtは以下のように定義される。
| Et = m・Cp・T Et:熱エネルギ、m:質量、Cp:比熱、T:温度 |
(1.4) |
*1:ド・ブロイの物質波と呼ばれ、物質全般はバネと見なす事が出来る。
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●内包量と外延量について
●熱エネルギと力エネルギ、位置エネルギの等価性
●力学エネルギと熱エネルギの関係
補足資料2に示すように、Et = Ef = 1/2 H・f2 と置けば力fが求められる。
この力fを最初にバネに印加しておくことで、物質が熱エネルギEtを蓄えている事を力学的にバネの伸縮に置き換えて表現する事が出来る。
これは式(1.4)が示された時、質量mを持つ物質とは変形しない完全剛体をイメージするかもしれないが、バネのように柔性Hを併せ持って伸縮するという見方をすると言う事である。
又、この力fは地球上でバネの上端を固定して垂直に吊るして静止している時にバネ内部に生ずる復元力と等価であり、重心に作用する重力と釣り合っている、すなわち万有引力と等価と言える。 *2
バネを吊るした状態から解放すれば落下を始めるがその時、式(1.3)に従って力エネルギEf=位置エネルギは逐次速度(運動)エネルギEvに変換され、両者の和は常に一定を保つ。
次に、絶対零度下ではバネの熱エネルギEt = 0、バネ内部の復元力f = 0になるので力エネルギEf = 0となる。
従って何もしなければバネは伸縮しないが、水ヨーヨーを振るように速度を印加すれば伸縮し始める。
この時、物質が蓄える力学エネルギEは外延量と内包量の和となる。
エネルギEとは本来、外延量 + 内包量の形であり、熱エネルギEtだけは内包量単独という位置づけと言える。
これらを整理したのが以下の表1である。
| 力学エネルギE |
| 速疎(運動)エネルギEv | |
| 力(位置)エネルギEf | 熱エネルギEt |
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| 電気エネルギE |
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*2:ニュートンが万有引力の法則を示した時、フックは同じ概念は自分が先に考えたと反論しており、ニュートンが復元力という見方をしていない点を指摘したものと思われる。
これを機に両者は反目するようになった。
フックの死後、ニュートンは彼の文書や実験装置を焼却しており、フックの復元力の見方は約2世紀後にアインシュタインが一般相対性理論に於いて空間の歪みという概念を用いるまで、顧みられる事は無かった。
なお、アインシュタインは力学的なアプローチではなく、数学の力を借りて空間の歪みを表現している。
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パウリの排他原理のモデル化
●スピンに代わる状態量
量子力学では電子同士はお互いに異なる状態を取る事を表現する為にスピンなる概念が用いられている。
電子のスピンの状態を表す量として角運動量なる物理量が使われている。
一方、物理機能モデルでは物質を質量mと柔性Hを対にして扱うので自転しながら運動する物質ではなく、バネのように伸縮しながら運動する物質が表現されている。
伸縮は波動であり、物質を粒子と波動の両面で表現している事になる。
本報では物理機能モデルの基本モデルをそのまま電子のモデルとしている。
電子の質量mは9.1093837015×10−31 kgとされているが、柔性Hは測られていない。
柔性Hを定義する為には電子の変位=長さと復元力が判っていなければならないが、不確定性原理により観測が困難という事情がある。Fig.2参照
本報では伸縮する物質がモデル化出来れば良いので、質量mと柔性Hを仮想の値としている。

Fig.2
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●伸縮による二態
パウリの排他原理と呼ばれるようになる以前、パウリは二つの状態を取るという事を二価性と呼んでいた。
伸縮している物質は数学的にも正弦波のように状態が規則正しく変化する。
例として二つの電子の状態を次のように分けて見る。Fig.3参照
・状態1:両電子がお互いに縮み方向の場合
・状態2:両電子がお互いに伸び方向の場合
しかしながら、量子もつれ状態のように両電子が正確に状態1、2の組み合わせを取る確証は無い。
両電子が付かず離れず、ある閾値を保ちながら浮遊する状態、すなわち引力に因り接近する両電子が途中で離反し、斥力が無くなると再接近するという状況を発現させるとしたら、上記のような状態の組み合わせは適切とは言えない。
そこで、電子の状態に由来するクーロン力を二つの電子に働く重力(万有引力)で代表させ、浮遊状態が発現する仕組みを考える事にする。

Fig.3
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●引力から斥力に転じる閾値
引力によって両電子は接近するが、途中から斥力に転じる状態を本報では臨界状態と呼ぶ事にする。
臨界状態に突入する為には閾値が必要である。
筆者は次のような理由から、両電子に挟まれた空間の復元力を閾値とする事にした。
・電子自身、及びそれに挟まれた空間に距離を測る機能があるとは考えられない。
・距離とは絶対的なものではなく、伸縮する物体間の隣接距離は定まらない。
・両電子が同時に閾値を跨ぐ確証は無いゆえ、それを感知できるのは両電子に挟まれた空間と考えられる。
・空間が発現する復元力には限界値があると考え、それを閾値とする。
・この限界力とは空間がそれ以上退縮する事が出来ない状態を表す量と考える。
・これは材料力学に於ける降伏点と同様の意味合いである。
・この閾値は空間が有する限界変形量という見方も出来る。
なお、降伏点、限界変形量については、既研究ノート:物質破壊(崩壊)のモデル化に出てくるので参照されたい。
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●伸縮による粘性の発現
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筆者は以下の事例から電子の振る舞いには斥力だけでなく、粘性なる物理量が発現する仕組みがあると考えた。
・気体分子(O2、N2、CO2等)が存在する空間中を帯電した物質が移動する際に、速度の1次に比例した抵抗力を受ける。
・物質に帯電した電荷を取り除くと抵抗力が減じる。
・例として、自動車の車体や各装置に帯電した静電気をアースして逃がすと、走行抵抗や各装置に働いている抵抗が低減する例が経験的に知られている。
・また、地球表面で太陽光により大気が温められて上昇気流が生まれ、大気の分子間の摩擦による帯電で雷雲が生じると説明されている。
・しかしながらこれらのメカニズムは未解明である。
こうした現象から、原子の集合体である物質が気体分子で満たされた空間中を移動する際に、原子と気体分子が抱える電子同士が近接する際に、ある振る舞いをする仕組みを考えた。
Fig.4は原子間に存在する引力と斥力の関係を表す力エネルギ場(通称、レナード・ジョーンズ・ポテンシャル)を表す。
右図は力エネルギ場を位置(原子間距離)で微分した力を表す。
原子間距離に応じて力の正側は斥力圏、負側は引力圏となる。
また、原子間距離に応じて斥力弾性域、引力弾性域、粘性域に分ける事が出来る。
弾性域と呼んだのは近似的にフックの法則が成り立つ=線形と見なせるという意味合いである。
一方、粘性域と呼んだ領域は非線形を示すが、このようなカーブを描くには原子間距離だけでなく、例えば二つの原子を引き離して行く際の時間(s)と距離(m)の関係=すなわち速度(ms-1)の要因が重なっている必要がある。
ここから速度(ms-1)に比例した力(N)を返す粘性抵抗係数Cm(Nsm-1)の存在が示唆される。 [3]
本報では上記の考え方から、原子間に存在する引力と斥力の関係は電子間にも拡張出来るという仮説を立てた。
これは前述の二つの電子に斥力が発現する閾値=臨界状態から離れて行く際に粘性が発現するというものである。
モデル化に際し、合わせてこの仕組みも組み込んだ。(Fig.5のモデル図の中の赤枠部分)

Fig.4 原子間に存在する引力と斥力の関係を表す力エネルギ場
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机上実験
●実験用モデル
Fig.5は二つの電子モデルの間に空間に相当するモデルを配置したものである。
補足資料で示した基本モデルは単純なバネであり、一端が固定の場合のみ適応出来るが、一端に速度を印加したり解放して宙を浮遊する場合は基本モデルが2連以上でなければならない。
その為、両脇の電子モデルは各々2連になっている。
空間モデルは基本モデルと同じであり、全体は見かけ上5連の構成である。
空間モデル内に両脇の電子の質量、柔性、長さ、隣接距離の情報を使って重力を発現させる機構モデルを組み込む。(赤枠)
この詳細は既研究ノート重力発現モデルを参照されたい。
初期は両電子モデルと空間モデルは相互に結線されていないが、空間モデルが発現する引力、斥力が両脇の電子モデルに印加される形になっている。これにより、
・排他原理が働く=臨界状態に入れば、付かず離れず隣接距離を保って浮遊する。
・排他原理が働かない=臨界状態に入れず、両電子が接触する場合は空間モデルは単なる導線として働く。
この時、両電子モデルは連結=一体化し、4連バネとして振る舞う。

Fig.5
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●パラメータ
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本報では計算上の桁数を抑える為に電子の質量m、柔性Hは仮想値とする。
・仮想電子質量m:1.0(kg)
・仮想電子柔性H:1.0e−5(mN−1)(剛性kの逆数)
・仮想電子長さL:0.1(m)
・仮想電子外径Φ:0.1(m)
・仮想電子比熱Cp:435(JKg-1k-1)(鉄の値を流用)
・粘性抵抗係数Cm:10(Nsm-1)
・温度:10(k)、2(k)の2水準。 これは絶対零度以上、及び近傍という位置づけとした。
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●試験条件
・サンプリング時間:10-4(s)
・両電子の隣接距離L:0.2(m)
・両電子に式(1.4)に因って決まる熱エネルギEtと等価な力fを印加する。印加方法は補足資料9参照
・印加完了と同時に解放する。
・この操作は2個のバネを向かい合わせ、引っ張ってから解放する操作に相当する
・結果説明の為に試験中の状態を以下の3caseに分ける。
case1:解放後の浮遊状態
case2:電子1に右向き速度を一定時間、印加する=右向きに押す
case3:case2を絶対零度近傍で行う
Fig.6
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●結果
Fig.7_1~6に各物理量の時系列波形を示す。
なお、物質=バネが蓄えているエネルギには次の二つの見方があるので分ける。
・エネルギ(外部座標から観測)
・相対エネルギ(物質自身の座標から観測)

Fig.7_1 case1(浮遊状態)
・左上段:初期熱エネルギEtを力fで印加すると(白丸)両電子は伸縮を始める。
・力(復元力)はお互いに逆位相で変動しながら減衰する。
・左中段:速度も同様に逆位相で変動しながら減衰する。
・左下段:変位も同様に逆位相で変動しながら減衰する。
・右上段:両電子の相対エネルギは変動しながら減衰するが、ゼロ近傍で安定する。
・右中段:両電子のエネルギは変動しながら減衰するが、ゼロ近傍で安定する。
・右下段:長さ、電子1(赤)、電子2(緑)は同位相で伸縮しながら減衰する。(上方向が伸び側、下方向が縮み側)
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Fig.7_2 case1(浮遊状態)
・左上段:長さ、電子1(赤)、電子2(緑)は同位相で伸縮しながら減衰する。
・左中段:両電子の隣接距離は初期位置=0.2mから0.1m弱まで接近、減衰して安定する。
・左下段:引力=正(赤)、及び斥力=負(黄)。
・右上段:引力をズーム。減衰して安定する。
・右中段:粘性抵抗係数。引力が閾値以下となって両電子が離反しようとする過程で発現。
・右下段:粘性抵抗に因り両電子のエネルギが熱エネルギに変換され、温度がパルス様に上昇。
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Fig.7_3 case2(速度印加)
・左中段:電子1の左端に時刻2.0~3.0秒の区間で-1(ms−1)の速度を電子2の方向に印加する。(白丸)
・印加終了と共に電子自身の速度は減衰する。
・左上段:力(復元力)は速度印加と共に立ち上がるが印加終了と共に減衰する。
・左下段:変位、電子1(赤)は電子2(緑)に接近するが、斥力を受けて電子2は離れようとする。
・右上段:両電子の相対エネルギは速度印加を止めると減衰してゼロ近傍で安定する
・右中段:両電子のエネルギは速度印加を止めると減衰してゼロ近傍で安定する
・右下段:長さ=伸縮幅は速度を印加した電子1(赤)の方が大きい。
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Fig.7_4 case2(速度印加)
・左上段:長さ=伸縮幅は速度を印加した電子1(赤)の方が大きい。
・左中段:両電子の隣接距離は0.07mから0.02m付近まで接近するが、離反する。
・左下段:引力=正(赤)、及び斥力=負(黄)。
・右上段:引力をズーム。引力は閾値(赤鎖線)を中心に変動する。
・右中段:粘性抵抗係数が発現する。
・右下段:粘性抵抗に因り両電子のエネルギが熱エネルギに変換され、温度がパルス様に上昇。
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Fig.7_5 case3(速度印加+絶対零度近傍)
・左下段:両電子は接近後に接触=一体化する。
・左中段:電子1の左端に時刻2.0~3.0秒の区間で-1(ms−1)の速度を印加する。(白丸)
・両電子は同方向に速度を持つが、印加終了しても減衰しない。
・左上段:力(復元力)も減衰しない。
・右上段:両電子の相対エネルギは速度印加を止めても減衰しない。
・右中段:両電子のエネルギは速度印加を止めても減衰しない。
・右下段:両電子連結後の長さは伸縮しながら一定を保つ。(白)
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Fig.7_6 case3(速度印加+絶対零度近傍)
・左上段:両電子連結後の長さは伸縮しながら一定を保つ。(白)
・左中段:両電子の隣接距離=接触する。
・左下段:斥力=負(黄)は発現せず。引力(赤)のみ
・右上段:引力は閾値(赤破線)に達せず。
・右中段:粘性抵抗係数は発現せず。
・右下段:温度も変化せず。
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以下に結果を要約する。
| case1 |
・二つの電子は付かず離れず、閾値=隣接距離を保って伸縮しながら浮遊する。 |
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case2
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・一方の電子に速度を印加して相手の方向に押すと相手は隣接距離を保とうとして離れる。
・速度を印加している間も隣接距離が保たれる。
・その間は粘性に因り温度が上昇する。
・速度印加を止めると両電子のエネルギは減衰してゼロ近傍で安定する。
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case3
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・絶対零度近傍では二つの電子は接触=一体化する。
・電子1に速度を印加すると両電子は一体化したまま伸縮する。
・速度印加を止めても伸縮は減衰せず持続する。
・粘性は発現せず、温度も変化しない。
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考察
●パウリの排他原理の役割と解釈
二つの電子が存在すれば引力と斥力が働き、両者は接触しない。
机上実験の結果からパウリの排他原理には、お互いに伸縮しながら隣接距離を保つ働きがあると推察される。
このような仕組みは、二人の人間がお互いにソーシャルディスタンス(縄張り)を保とうとする様に似ている。
また、毛細血管や樹木の先端は血管や枝同士が重ならないように成長=細胞分裂を止める自律機能があると考えられる。
これはシステムの中のリミッター機能と言える。
血管や枝を構成する原子に付帯する電子同士が近接状態を感知するセンサーの役割を果たしていると考えられる。
人体の毛細血管の総延長は10万Kmを超えると言われており、生命を維持する為に効率よくエネルギを運ぶ驚異的なシステムと言える。
このような、お互いが重ならないという仕組みは数学的にはフラクタルなる性質と言われている。補足資料5参照
フラクタルとは部分の仕組みが全体の仕組みと相似になっている性質であり、毛細血管が重ならない仕組みと人間が社会の中でソーシャルディスタンスを保とうとする仕組みは同じと言えるかもしれない。
もし、このリミッター機能が正常に働かなかった場合は細胞分裂が止まらず、細胞同士が干渉してしまい、腫瘍とはこうして発現するのかもしれない。
動物の細胞分裂は細胞を縛って分割させるための紐の役目をするアクチンと呼ばれるタンパク質が存在する。 [4]
本報の机上実験から、タンパク質を構成する原子に付帯する電子が紐を縛るか否かというスイッチ機構となっている可能性が示唆される。
このように考えると、本報のモデルを通して言えるのは以下である。
・二つの物質が引力と斥力の交換で接触せず隣接距離を保って浮遊する為には物質自身が伸縮している事が条件である。
・機械工学の分野では姿勢、位置制御があるが、センシングしたい物理量が変動している事が条件である事と同じである。
・臨界状態に入る為の閾値は距離ではなく、両者に挟まれた空間自身に発現する復元力=重力にある。
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●粘性の役割と解釈
本報のモデルではFig.4に示したように、粘性は両物質間の隣接距離を横軸に最大引力となる地点以遠において発現するというロジックを採用している。
そして最大引力=空間側バネの復元力に閾値を持たせ、それを下回ってから両側の電子が離れて行くまでのタイミングで粘性を発現させている。
なお、閾値以下の全領域で粘性が働くと浮遊状態は持続せずに減衰してしまう。
電子モデル側は2連ゆえに非線形バネであり、その振幅や周期は一定ではなく、正弦波にならない。
本実験はこうした複雑な条件下で復元力の閾値を中心に浮遊状態となるべく制御している事になり、粘性はそれを安定させる役割と解釈される。
なお、バネが蓄えるエネルギは線形、非線形に関わらず式(1.3)に従い粘性が無ければ常に一定に保たれる。
一方、対になって浮遊する電子バネのエネルギを観測するとノミナル値を中心に変動している事が判る。
これは引力と斥力の交換に加え、お互いの伸縮がお互いに影響を及ぼし合うという相互システムである事が鍵である。
ここから、粘性とは伸縮する電子同士が浮遊状態を維持=系全体で見ると発散も減衰もせず、エネルギが安定する為に不可欠な物理特性と解釈出来る。
このように考えるなら、パウリの排他原理とは電子のみならず、原子の連鎖である物質全般に拡張されると考えられる。
パウリの排他原理とは社会=システムを成り立たせている原理とも言えるかもしれない=単体=個人では生存できない。
物理的な粘性とはストレスのようなものであり、お互いに接近し過ぎるとストレスを感じるが、ストレスを伴って初めて社会は成り立つと言えるかもしれない。
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●量子力学との対比
量子力学の分野ではパウリの排他原理は数学的に導かれる波動関数を基に統計的な振る舞いとして説明されている。
一方、本報ではバネという力学的なモデルを通して解釈を試みたものである。
従って、机上実験に於ける計算結果は再現性があり、統計、確率論を必要としない。
そうした見方では本報はパウリの排他原理についての古典的アナロジーと言えるかもしれない。
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●絶対零度近傍についての考察
式(1.4)に従い、絶対零度近傍では物質が蓄える事が出来る熱エネルギEtは小さく伸縮量も微小となる。
伸縮する電子内部では復元力が発現しているが両電子に挟まれた空間モデル内部も同様であり、これが引力の原資となっている。
前述のように、パウリの排他原理発現条件は空間側の引力=復元力が閾値を超える事としている。
従って、低温で伸縮量が微小な場合、空間側の復元力が閾値を超える事が出来ない。
このケースでは両電子は接触するが、2連のバネで表現した両電子が4連のバネに連結=一体化する。
物理的にバネは粘性を付与しなければ、減衰せずに永久に伸縮し続ける。
このように考えると、パウリの排他原理とは以下の様に解釈出来る。
・電子は通常、同じ状態を取らない=重ならない=接触する事が無い。
・電子に挟まれた空間は何もない空間ではなく、実体は無いが柔性を持ち、復元力が発現している。
・この復元力が両電子に作用する引力、及び斥力の原資となる。
・両電子の隣接距離、及び伸縮の影響を受けながら復元力が閾値を超えるケースがある。
・これをトリガーにレナード・ジョーンズ・ポテンシャル由来の粘性が発現する。
・こうしたケースの発現は間接的に温度が閾値となっている。
・排他原理とは、引力、斥力の交換に因り、両電子が付かず離れずの状態である。
・但しこの状態は不安定であり、これを安定化させるのが粘性である。
・粘性が発現しなければ動的バランスが保てず両電子は接触、一体化する。
・粘性ゼロでは一体化した電子に速度を印加するとそれを止めても伸縮が減衰せずに持続する。
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●力学と電磁気学の相似則
補足資料に掲載した力学と電磁気学の相似則の表に従い、本報の電子(バネ)モデルによる机上実験に於いて得られた知見は、電磁気学の導体に置き換える事が出来る。表2参照
電磁気学上の導体とは、例えば銅原子の連鎖と見れば力学上のn連バネと相似である。
絶対零度近傍では電圧印加を止めても電流が残る(流れ続ける)、超伝導現象が知られている。
| 表2 |
電子(バネ) |
導体(n連バネ) |
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絶対零度以上
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速度を印加する
↓
粘性抵抗によって熱エネルギに変換される
↓
電子の温度が上昇
↓
速度印加停止
↓
粘性抵抗によって電子の速度、復元力は減衰する
↓
エネルギはゼロになる
|
電圧を印加する
↓
電気抵抗によって熱エネルギに変換される
↓
導体の温度が上昇
↓
電圧印加停止
↓
電気抵抗によって導体の電圧、電流は減衰する
↓
エネルギはゼロになる
|
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絶対零度近傍
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粘性が発現しない
↓
速度印加停止後もエネルギはセロにならない
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電圧印加停止後も電流が残る(流れ続ける)
↓
電気抵抗が発現していないと見なせる
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●電流の力学的解釈
本報のモデルは電子単体だが、導体が純銅製であれば銅原子の連鎖と言える。
導体中の銅原子に付帯する最外殻電子=自由電子が本報の電子単体モデルに相当する。
補足資料に掲載した力学と電磁気学の相似則の表によれば、
・力学上の速度vと電磁気学上の電圧Vは相似である。
・力学上の力fと電磁気学上の電流Iは相似である。
ここから、導体中を電流が流れるという現象は以下のように解釈出来る。 Fig.7参照
・導体の端から端まで自由電子が移動するのではない。
・導体の一端の電子が速度印加を受ける=電圧を印加されて押されると隣の電子は斥力によって離れようとする。
・n個の原子が連なる導体では電子から電子に斥力が伝播して行く。[5]

Fig.7
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●超伝導現象の解釈
本報のモデルでは絶対零度近傍が粘性発現の条件となっている。
既研究ノート 力学の双対性から見た超伝導現象 では粘性は電子自身の復元力が限界を超えた条件で与えていた。
そして絶対零度では伸縮出来ないので復元力の限界値を超える事が出来ず、粘性が発現しないというモデルであった。
一方、本報のパウリの排他原理モデルでは電子自身の復元力ではなく、両電子に挟まれた空間側の復元力を閾値にして粘性が発現するロジックに変更した。
ここで電子1に速度を印加するとcase3に示したように速度印加を止めても両電子は伸縮し続ける。
ここから、超伝導現象は以下の様に解釈出来る。
・電子に速度を印加すると隣接する電子が一体化して伸縮し続ける現象である。
・両電子間に挟まれる空間の復元力が閾値以下では粘性が発現しない。
・電子間でエネルギは減衰せず伝播が持続する。
・絶対零度以上でも低温下で復元力の閾値を超えなければ粘性は発現しない。
・この閾値により有限温度でも発現する超伝導現象が説明出来る。
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まとめ
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物理機能モデル手法による二つの電子とそれに挟まれる空間のモデル化、及びパウリの排他原理のモデル化により以下の知見が得られた。
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二つの近接する電子間に引力と斥力を発現させる事ができた。
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二つの電子を近接させると、付かず離れず、ある閾値=隣接距離を保ちながら浮遊する状態が創出できた。
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この仕組みには粘性の発現機構が必須である。
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排他原理、及び粘性は両電子に挟まれる空間の復元力の閾値を超える事で発現する。
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電子の一方に速度を印加して相手の方向に押すと相手は隣接距離を保とうとして離れる。
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排他原理には、お互いに伸縮しながら隣接距離を保つ働きがある。
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粘性が発現する復元力∝温度以上では速度印加を止めると電子のエネルギは減衰する。
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この温度以下では粘性が発現せず、減衰しない。
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超伝導現象とはパウリの排他原理に由来し、閾値=温度を境にエネルギ伝播が減衰しない現象と解釈される。
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脚注・参考文献
脚注:
[1]:次世代のものづくりのための電気・機械一体化モデル 長松昌男 著 共立出版刊 2015年 P86
[2]:機械学会交通物流部門 連続講習会No.24-53 資料
"物質の柔性が粒子と波動性に及ぼす影響" 五十川晋一 著 2024年 P15
[3]:機械の力学 長松昭男 著 朝倉書店刊 2007年 P51
[4]:タンパク質の音楽 深川洋一 著 ちくまプリマーブックス 1999年 P136
[5]:次世代のものづくりのための電気・機械一体化モデル 長松昌男 著 共立出版刊 2015年 P87
参考文献:
・角田鎮男 ほか:製品開発のためのモデル化手法(展開と統合) 日本機械学会 [No.98 8]
機械力学・計測制御講演論文集 98.8.17 20 ・札幌 )
・機械の力学 長松昭男 著 朝倉書店刊 2007年
・複合領域シミュレーションのための電気・機械系の力学 長松昌男、長松昭男 共著 コロナ社刊 2013年
・次世代のものづくりのための電気・機械一体化モデル 長松昌男 著 共立出版刊 2015年
・機械学会交通物流部門 連続講習会No.12-5 資料
"機械ー電気の統合モデルによるモデルベース開発" 角田鎮男 著 2021年
"機械工学から見た相対性理論" 五十川晋一 著 2021年
・機械学会交通物流部門 連続講習会No.22-80 資料
"機械工学から見たブラックホール" 五十川晋一 著 2022年
・機械学会交通物流部門 連続講習会No.24-53 資料
"物質の柔性が粒子と波動性に及ぼす影響" 五十川晋一 著 2024年
・ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで 林一訳 ハヤカワ文庫NF 1995年
・タンパク質の音楽 深川洋一 著 ちくまプリマーブックス 1999年
・つくばサイエンスニュース パウリの排他原理による斥力(せきりょく)の起源を実験で検証 2022年
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