物質全般は絶対零度以上の温度にあるとき、熱エネルギを蓄え、かつ伸縮している。 *1
まず、伸縮している物質の力学的エネルギEは以下のように定義される。
| Ev = 1/2 m・v2 |
Ev:速度(運動)エネルギ、m:質量、v:バネ端部速度 |
(1.1) |
| Ef = 1/2 H・f2 |
Ef:力(変形)エネルギ、H:柔性、f:バネ復元力 |
(1.2) |
| E = Ev + Ef = const. |
|
(1.3) |
上式は力学の双対性を現し、式(1.3)は対になったエネルギの和は常に一定となる事から、伸縮する物質に限ったエネルギ保存則と呼べる。補足資料1参照
*1:ド・ブロイの物質波と言え、物質全般はバネと見なす事が出来る。
4連のバネが絶対零度下にあればエネルギ=0 であるから伸縮は起きないが、設定した温度の熱エネルギと等価になるように4個のバネにランダムな速度を初期値として与える。
これにより計算初回から伸縮を始めるが、式(1.3)に従って4連バネが蓄えるエネルギは時間に無関係に一定である。
この状態は個々のバネは同じ諸元を持ちながら異なるモードで伸縮し、全体としてはエネルギのバランスが保たれている。
物理学的にはこれを対称性があると呼ぶ。
しかしながら、個々のバネに印加する速度の初期値は試行毎にランダムである。
非線形システムは初期値鋭敏性を持っているので、時間の経過につれてある時刻でいずれかのバネの振幅や周期が突出する場合があり、これを対称性が破れると表現している。
数学的にはこれを、対称性が破れる確率はゼロではないと表現する場合がある。
本報の机上実験では塑性域に入るように限界力Fvの閾値を設定する。
この時、個々のバネの復元力が閾値を超えるまでに余裕があるように見えてもピーク値は変動しており、時間が無限に経過すれば或るバネが突出して閾値を超える可能性はゼロとは言い切れないという事である。
そして、一度バランスが崩れると残されたバネが次々と連鎖的に塑性域に入り、最終的に全バネが寿命に達する=システム崩壊に至るという事である。
このような机上実験になる事から、計算試行毎に結果は異なる。
各物理量の時系列波形を観察、整理、ケース分類を行うと、塑性破壊の連鎖によって寿命に達する=崩壊に至る予兆を捉える事が出来る筈である。
前述のように塑性域に入れるという操作は人為的に対称性を破ると言う言い方も出来る。
対称性の破れとは必ずしも人為的な操作だけでなく、システムが置かれている環境変化もトリガーと成り得る。
例えば、外気温やシステム自身の発熱に因る温度変化が挙げられる。
既研究ノート、力学の双対性から見たプランクの公式の解釈 では原子単体の柔性は温度と反比例の関係にある、という知見が得られており、温度変化に因りバネの振動モードは複雑に遷移する事が予想される。
本報では、まずバネの質量、及び柔性という特性値を基に基本的な様相を把握したいので、温度一定の条件とする事にした。