上達したのは誰なの?
アメリカに来て早9カ月が経とうとしている。予定では24ヶ月の滞在に
なるはずなので、もう1/3が過ぎてしまったことになる。
英語は少なくともそして当たり前ながら、来た当初に比べるとかなりの
進歩があると思う。まず、英語ネイティブスピーカー以外の外国人との
コミュニケーションにはほとんど支障をきたさなくなって来た。生意気ながら、
相手の英語力が一定のレベルにあれば、という意味であるが。
こちらで仕事、生活をこなして行く上で接触する人間は日本人を除けば、
非アメリカ人と接する機会のほうがアメリカ人と接するよりも多く、
英語という共通言語の存在に感謝することがしばしばある。
まあ、なかでも一番多い中国人は何かと漢字でコミュニケーションを
取りたがる輩が多いのも事実ではあるが。
English never makes sense. とは、英会話学校の先生が言ったせりふである。
Nobody speaks proper English. とは親しいドイツ人がことあるごとに言うせりふ。
どこからかマイフェアレディのヒギンス教授の嘆きが聞こえてきそうである。
ただ、この8ヶ月で間違った英語でも勢いで通じさせてしまうという度胸が
身についたことだけは間違いが無い。
実際、研究室のメンバーや、最近親しくなった台湾人、中国人たちとの
会話においては、真面目な話しからジョークまで、目をきょとんとさせて
あいまいな笑みを浮かべてわかったふりをするということはほとんど
無くなった。ところが、これは僕自身の英語の上達以上に、彼らの
慣れが大きいと言うことが分かってきた。L/Rの問題をはじめ、
聞き手としての彼らの耳は確実に僕の発音に慣れ始めているらしい。
事実、初対面の人間に対しては通じる度が大幅にダウンしてしまうのが
現状である。
今、学校は冬休み中である。必然、英語に触れる機会は圧倒的に少なくなる。
この期間をどう過ごすのか。インターネットを含め居心地の良い母国語世界に
過ごすのか(日常生活には英語はほとんど不要)、それとも努力・・・。
帰国後、慣れだけで培った英語はあっという間に何処かに消えてしまうのは
目に見えている。2年間の米国滞在を一生の財産にするためには、
それなりの努力が必要であろうと自分に言い聞かせている。