外国人の口から日本語が
産まれて初めて海外に旅行に出かけた日本人が、全く英語がダメだったとしても
”グッドモーニング”や”サンキュー”くらいなら何の抵抗も無く口に出せるのと同様、
日本で出会った外国人の口から”オハヨウゴザイマス”や”アリガトウ”、”コンニチハ”
などといった言葉が出てきても別に驚くことは無い。
ところが、アメリカで生活していて外国人の口から日本語が出てくると
妙な感動と驚きをいつもおぼえる。
大学の清掃係のおじちゃんに”ヨロシクオネガイシマス”と言われてみたり、
高校生の時に日本語を履修したという若い学生に”アウコトガデキテ、トテモウレシイデス”と
挨拶されたり、こういう機会は意外と多い。
つい最近、我が研究室にドイツから交換留学生として1年間の予定で滞在している
マーティンという学生に突然”オハヨウゴザイマス”と挨拶された。
彼とは4ヶ月近い付き合いだし、今まで英語以外で話しをしたことも無かったので
えらくビックリさせられた。
実はこの前日に彼と、僕が大学時代にドイツ語を第2外国語として履修していたこと、
10年も前のことなので”グーテンタグ”と”ダンケシェーン”しか覚えていないことなどを
話していた。で、それに触発された彼が僕を驚かせようと思ってインターネットで調べたらしい。
ふと考えてみたのだが、ドイツ語の授業はそれなりに厳しかったから比較的真面目に
履修していたはずだし、10年前とは言え、なんにも覚えていないのは腑に落ちない。
でも、さらに思えば、当時ドイツ語がほんのわずかでも役に立つチャンスが
あろうとは想像だにしなかった僕は、ただ単位を取る為だけの行為に走り
コミュニケーションの道具としてはこれっぽっちも捕らえていなかった。
当時僕と同期だった工学部生1000人のうちその後ドイツ語が使えるチャンスに
出会った人間は数えるほどわずかだろうから、あんなものが必修単位であったのは
ナンセンス極まりないと今でも思うが、一方で外国語を学ぶチャンスがあったなら
最低限の基礎だけでも貪欲に真に身に着けておくべきだったとつくづく思う。
とりあえず、僕も負けじとインターネットで”ドイツ語”、”イタリア語”(無料英語学校で一番親しい人間用)、
”ギリシア語”(同僚の奥さん用)、”ポルトガル語、スペイン語”(英語学校に沢山いる)、
”ロシア語”(同僚)、”韓国語”(この近辺で一番のお気に入りのレストランはコリアン)
の基本会話を調べたので、英語学習の息抜きにでも頭に叩き込んで、ちょっとした
新鮮な会話を楽しんでみようと思っている。