ゲームミュージックに嵌って
初めてゲームミュージックなるものが世に出たのはいつのことだったか。
恐らくは僕が中学2年か3年生のとき、NAMCOという老舗のアーケードゲーム
メーカーが出した物が知る限り最初のゲームミュージックだったように思う。
中には元YMOの細野晴臣が手がけた12インチシングル”レコード”なるものも
あった。当時、それほどゲームに入れこんでいたわけではなく、むしろ
プログラムの載っている雑誌を購入し、そこについているゲームのレビューを
読んで想像を膨らませていただけだった。
以来、これまでに数え切れないほどのゲームミュージックのレコード、CDを
購入、レンタルしてきた。その数は100枚を下らない。
ところが、ここ数年、彼らを購入することが無くなってしまった。何故か?
やっと大人になったかという意見もある。でも、昔買ったCDは今も良く
聞いている。決して自分がゲームミュージックと言うジャンルから
足を洗った、とは思えない。
理由は簡単で、ゲームミュージックがゲームミュージックで無くなってしまったから
だと思う。ゲームなどやらない人でも、プレイステーションをはじめコンシューマゲーム機、
あるいはパソコンゲームのほとんどが今はCDで配布されることは知っていると思う。
媒体にCDを使うということは、ゲーム中にCDに吹き込まれた音楽を鳴らすことが
出来ると言うことである。去年発売されたファイナルファンタジー8の主題歌、フェイウォンの
歌う”eyes on me”はヒットチャートの上位にランクされた。また、ゲーム機、パソコンともに
搭載されている音源も格段に進歩した。カラオケボックスの演奏装置なんかより遥かに
高音質の音楽をならすことなんて朝飯前である。
当時僕が好きだったゲーム音楽と言うカテゴリーは、制限された音数、音色の中で
ゲームを盛り上げるためだけに作曲、演奏されている音楽であった。その制限が
取り払われた今、ゲームを彩る音楽たちは、
粗製濫造のJ-POP真っ青の安っぽい楽曲群になってしまった。
10年以上前にとあるゲーム評論家(スゴイ職業・・・)があるゲームミュージックCDの
ライナーノーツに書いたことがある。「もし今JSバッハがこの世にいて、たった三声しか
同時に鳴らせない音源でゲームミュージックを書いたらどんな曲が出来るだろうか?」
バッハには失礼かもしれないが、僕はゲームミュージックと同じ香りがすると言う理由だけで、
”トッカータとフーガ”のような彼のオルガン曲が大好きである。
ゲームミュージックは誰にでも受け入れられる物ではなく、ゲームを好きなってはじめて
耳を傾ける気になる。そういうものであって欲しいと思う。
・・ここだけは、オタッキー&懐古主義 で結構・・