レナード・バーンスタイン指揮
ウィーンpo.

グラモフォン POCG-1501
1990/2/28 及び 3/1
ウィーンでのライブ
  
このCDが発売された時、大変嬉しく楽しみで急いでレコード屋さんへ行きました。何故かというと、その直前に発売されたアムステルダム・コンセルトヘボウとのマーラー第9交響曲が緊張感と集中力に満ちた素晴らしい演奏だったからです。
この感じでいけば 凄いブルックナーかも知れないと ワクワクでした。(^o^)

しかし 想像とはだいぶ違った演奏でした。

第1楽章 ウィーン・フィルらしいコクのある魅力的な音色で始まります。管楽器群のバランスも素晴らしくスケールの大きな演奏だ。
しかし テンポがイマイチでリタルダントの所やそれ以外の場所でも なんだか今にも音楽が止まってしまいそうで 不安になってくる。フレーズの最後の音が必要以上に長くてテヌートになってしまってる。 晩年のベームに似ている。
「F」167小節に入って 突然 「Moderato」に復活するけど あんまり効果的ではないし・・
最後はなんとか カッコ良くまとめているけど、「O」355小節〜とコーダの出だしは個人的な趣味としては もっと 息詰まるような緊張感が欲しい。な〜んか フニャっとした感じに聞こえてしまう・・

第2楽章 主部のテンポの遅さについて ある人は本に「〜 このスケルツォの巨人的な歩みに唖然とされるだろう」と書いていましたが、そうかな〜〜??? あんまり良くない・・・
やはり人の好みは色々だな〜と 感じました。トリオはすごくいいです。(それが 狙いかも・・)

第3楽章 1.2楽章で気になって仕方なかったテンポの動きもここでは感じられず、心地よい。
バーンスタインはこの演奏会の半年後に亡くなったことも頭のどこかにあって なおさら味わい深く聞こえる。ブルックナーが最後に描いた「辿り着いた安息の場所」をバーンスタインも見えていたのかも知れない。「R」207小節〜 終わりに近づくにつれて 素晴らしさは増していく・・・


バーンスタインがもう少し生きていれば、開かれるはずだったロンドン交響楽団 との来日コンサートの曲目にこのブル9がありました。
確かチケットは 急病のため発売中止になったと記憶していますが、残念でした。 巨匠の最後に辿り着いたものを 聴きたかった・・・




レナード・バーンスタイン指揮
ニューニョークpo.

SONY SMK 4752

Philharmonic Hall,now Fisher Hall
,Lincorn Center,New York City,
February 4,1969


「ブルックナー交響曲第9番」という楽曲を大手レーベルにおいてオフィシャルな形で録音を残せる指揮者は幸福であり 実績、実力、人気など幾つかの条件を満たしたマエストロに限られると思います。
しかしそれはどうやら名演を残せる「必要条件」ではあるけれども「充分条件」ではないようです。

ライブ録音のようだが、各楽器の音が明瞭過ぎて全体的に軽薄で貧相な音色だ。
気の抜けたようなティンパニ、品のない金管群、、、
テンポはテーマ毎に目まぐるしく変わり、時折見せる場違いな粘っこさ、、それぞれの整合性を全く感じさせず完全に分断されていて。。。それが曲全体のスケールを著しく小さくしているように感じる。。
いったいぜんたいバーンスタインは何を表現しようとしているのか私には理解出来なかった。

ウ〜〜ン。。。これがあのマーラーの1番、4番、あるいは9番、ショスタコの5番、そしてシューベルトの未完成といった 数々の名演を聴かせてくれたのと同じバーンスタイン/ニューヨークフィルハーモニーによる演奏なのだろうか。。。。
少しキツイ書き方になってしまったが、それだけバーンスタインに期待していたのです。
救いはアダージョ。部分的にではあるが、バーンスタインの天才の煌きを感じさせてくれた。

先に書いたウィーン盤との違いはオケです。
しかし この場合オケの違いは決定的です。
ウィーン盤の素晴らしさは丸ごとウィーンフィルの魅力そのものだったのです。

簡単に結論を書いてしまえば「バーンスタインはブル9には向かない」ということになるのでしょうか。。。。。