このCDはよく秋葉原などの路上で「2枚で¥980」なんて具合で売られている廉価盤です。(^^ゞ
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録音も「1975年」とあるだけで 解説などもいっさい無しでかなり怪しいけど 演奏はカラヤン/ベルリン・フィルに間違いないと思います。
私は1966年のカラヤン盤で初めてこの曲を聴いたためか カラヤン/ベルリンの演奏が長らくこの曲の基準でした。
基本的に1966年盤もこの1975年盤も 変わり無く 流麗にして壮麗、豪華にして美しい、圧倒的なベルリン・フィルの威力で最後まで押し通す、という感想でしょうか。
シューリヒトやクナとはまったく別の次元の「生への告別」がここには あります。これはこれで
カラヤンらしい美学が感じられて、私には好ましい。
彼にはその美学が最高の形として具体化した 4番「ロマンティック」での決定的名演がありますが、残念ながら「9番」という曲に関しては
少し方向が違うじゃないかな〜と感じます。
簡単に言うと、ブルックナーが聞こえてこない・・のです。
変な表現ですけど、最後まで聴いても全然疲れないというか・・・・聴き易いというか・・
どこか別の世界で音楽が鳴っているかのようです。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 グラモフォン MG 4012 1966/3/15〜19 |
素晴らしいバランスのオーケストラの響き。
決してヒステリックにならず どんなフォルティシモにおいても余裕を残して苦もなく鳴り響く金管群。
それ自体がまるで一つの楽器のように 溶け合う木管群。
スコアを忠実に再現するという事に関して、カラヤンとベルリンフィルには一点の非もないのです。
そこには人間の呼吸とか匂いといった類のものはあまり感じられない。
しかしそれは否定的な意味ではなく、それこそがカラヤン/ベルリンの偉大なそして最大の魅力だと
感じます。
「さー完璧に演奏しましたよ。後はお好みの解釈を付けて、ご自由にお聞きください。」
と カラヤンは言っている訳です。
この演奏はカラヤン流の一つの終着であり、普遍の結論であるのです。
詳しい日付は忘れましたけど(15〜6年位前だと思う)カラヤン/ベルリンが来日したときに「ふもんかん」?という会場に2日間通いました。
ブラームスの1番と3番、ベートーベンの5番と6番 という定番プロでしたが、初めてのカラヤン、初めてのベルリンフィルに感動の連続でした。
「田園」の出だし、 なんと柔らかく聞こえたことか!!
「運命」の第3楽章のコントラバス 恐ろしいくらいに押し寄せる低音!!
なんだかんだ言ったって カラヤンは凄かった。