knap.jpg ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

RVC RCL-3312
1950/1/29 ベルリンにおけるライブ


   1950年の録音ながら音質は驚くほど良く、クナの貴重なブル9を堪能できるし、現在では珍しい悪名高き「レーヴェ改訂版」を実際の音として聞ける意味でも貴重な一枚です。

版の違いはあまりこだわらない(本当はよく分らない?)私でも さすがにこの演奏は随所に「おや???」と思わせる個所がありますが、そんなことを吹きとばすかのような名演。

第1楽章 沸き上がるクレッシェンド、恐ろしいほどのティンパニの強打、自在に変化するテンポ、圧倒的なクライマックス、とフルトベンクラー顔負けの豪演です。
これは一聴の価値がある。

第2楽章 この楽章が最も「レーヴェ改訂版」を感じさせます。
主部開始のピッチカートが木管に受け継がれるので、一瞬「あれ?」ってな感じで頼りなく聞える。
それにしても 気迫充分の演奏で途中からはまったく気にならなくなる。
1950年といえば まさにフルベンがベルリンの帝王として君臨していた訳で ひょっとしてクナもだいぶ意識して振ったのではとも思える。

第3楽章 「生への告別」前の金管の咆哮(17小節〜)部分の意識的なクレッシェンドは独特で今までに聴いたことのない演奏だが、これも「レーヴェ改訂版」ゆえか?
しかし音楽は進むにつれて 深くなっていく。
「静寂」 「孤独」 「純粋」 「無垢」 「安らぎ」ブルックナーの魅力が次々と顔を出す、大事に大事に始まり微妙に変化していく(155小節〜)は圧巻だ!

一部の間で評判のミュンヘン・フィルとの「8番」より 演奏としてはよっぽど面白味があり「レーヴェ改訂版」でなければ 間違いなくベスト3に入る名演です。


お勧めサイト・・・Syuzoさん「Hans Knappertsbusch Fan's Page」