エレクトーンによる「ブル9」


最新エレクトーンによる「ブル9」というう少し嗜好の変わった演奏会
野口氏よりチケットを送っていただき行っていきました。

私はエレクトーンとシンセサイザーを混同していたようです。
最初イメージ的には富田勲の「展覧会の絵」とか もっと過激にいうとYMOのような音を想像していたのです。
それに「打ち込み系の音」混じった近未来的で機械的な そういうブル9を。
しかしこれは私の認識不足も甚だしい誤解でした。

演奏全体はほぼオーケストラの音に準じた音色で、違和感なく音楽に入っていけました。
目を閉じて聴いていると一瞬 本物のオケかと間違えるような自然さです。
ところが目を開けると 4台のエレクトーンにシンセドラムそれに指揮者の野口氏と なんかミョーな風景がありそれはそれで面白く見えました。
チケットの写真
印象を素直に列記してみると。。。

通常のオケの演奏では難しいと思われる管楽器ピアニッシモのロングトーンが素晴らしい安定性を持って鳴っていた事。(あたりまえの話だが、)
やはり普通はバラバラって感じで始まる事が多い 金管群のコラールもいとも簡単に最初の一音から狂いのないハーモニー。(これもあたりまえ。。。)
エレクトーンならでは演奏として 第1楽章やアダージョにオルガンを意識した音、第2楽章でのピッチカートの音色、アダージョ最終結部におけるアルペジオを鐘の音に変えていたのが 耳に残った。
しかし この表現はいかにも中途半端で やるならもっと徹底的にやって欲しかった。
オケにあくまで似せるのか 独自の音で演るのか。。。
オケなみにするのであればフォルテとピアノの間の音をもっと柔らかく欲しい
中間の音が聞こえない。それにフォルテッシモの第1ヴァイオリンの音がキンキンし過ぎて耳に痛い

出版関係の問題かららしいのだが、それぞれの奏者の為のパート譜ではなくスコアを見ながら演奏していたのには驚いた。
つまり移調しながら演奏していたのだ。。。凄いね〜〜〜。。

それと直接関係はないけど 低音部を担当した右側の女性の見事な足さばき(ペダルさばき?)には初めてエレクトーンの演奏会を見た私には感動的ですらありました。
すごいね あの足の動きは。。。スケルツオの例の主部の部分、叩き付けるようにペダルを踏んでいた。。。。そのせいか 特殊な細工があったのか知らないが 床が揺れていました。。。。すごい。。。でもって ちょっとセクシー。。。

演奏そのものは思いっきりアナログ的で それは野口氏によるフルヴェンばりの解釈の影響が大と思われる。野口氏の熱演に拍手。
しかし アダージョ155小節コラール部分、154小節からの木管を一度完全に止めてppで始まり低弦でうねるようにボリュームが上がりフォルテに至る解釈はちょっと。。。。!!!
あそこは155小節の1拍目がとても大切!!ppは好きじゃないです。

結論をいうと 今回のような企画のコンサートは今後もドンドンとやって欲しいし、またひとつの演奏会の形式として充分楽しめ、成り立つのではないかと感じました。
もっと 突っ込んで書くと あの5人の奏者を私が雇い、一度自分の解釈のブル9を演奏してみたいな などと 楽しい想像まで出来ました。
それと 曲目として9番を選ばれたのは 私個人としては嬉しいが、一般的にはより音響効果の高いと思われる8番や4番がよかったのではないかと いらぬ心配をしてしました。

以上 日本初のエレクトーンによる「ブル9」演奏会を聴いての報告でした。
野口さん ご苦労様でした。