クルト・アイヒホルン指揮
リンツ・ブルックナー管弦楽団


CAMERATA 30CM-275/6
1992〜3 リンツ、ブルックナーハウス

ブルックナー交響曲に最も相応しい音色を持つオーケストラは「ウィーン・フィル」であるという漠然としたイメージを持っていました。
しかしアイヒホルン盤を聴いてその考えは必ずしも 正解ではないと分りました。

このオケ(Brucker Orchester Linz)の発する音は 純粋で温かく誠実です。
格好つけたり見栄をはった音ではなく、作曲者への深い尊敬と愛情を感じてしまう。
解説を見ると録音「リンツ・ブルックナーハウス」とある、このホールがどんな場所なのか分りませんが、その影響もあるでしょうか。

ブルックナーに一番大事なものは 重厚なオルガンサウンドでも 荘厳なコラールでもなくもしかして この事かも知れない。

細かい演奏についての注文は無しにして ゆったりと謙虚な気持ちでブルックナーと向き合える演奏。
心を打つ 名演です。


サマーレ、マツッカ、フィリップス、による フィナーレ補完版について


このCDを入手以来、フィナーレだけを何度も何度も聴いていた時期がありました。
繰り返し聴くうちに だんだん自然に思えて来て「これは これで4楽章と考えても良いのではないか」と考えたほどです。

しかし、第1楽章から通して聴くと やっぱり ダメだ!
あのアダージョの天国的な響きの後に始まる音楽はどうしても抵抗を感じてしまう。
600小節を超える中で彼の手で完成されているとされるのは172小節足らず、特に想像でしかないと判ってしまっているコーダでこの曲を聞き終えるのは 少し無理がある。
アイヒホルンによる渾身の3楽章までが 素晴らしいだけになおさらだ。

偉大なる挑戦として興味を引く企画ではあるが、3楽章の後に4楽章としてCDにするべきではないと思う。
その意味では、参考資料として交響曲第5番とカップリングしたインバルの考えに共感できます。
(現在発売されているインバル盤はいっしょになってるようですが。。。)

このフィナーレに関しては賛否両論ですが、もちろん結論などないのです。