オイゲン・ヨッフム指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

全集の写真 グラモフォン MG9813〜24

録音日 1964/12
ベルリン イエスキリスト教会


古くからブル9の定番中の定番と言われて来た演奏。

ヨッフムはミュンヘンにおけるデビュー(1927年)がブルックナーの第7交響曲、ベルリン放送局での最初の指揮が交響曲第5番、またバイエルン放送交響楽団との第1回演奏会(1949年)の指揮が同じ5番であり、1950年には国際ブルックナー協会ドイツ支部理事長、1954年には同協会よりメダルを授けられるなど ブルックナー指揮者の第一人者で、世界中にブルックナーの真価を認めさせた功績は多大です。

しかし何よりも一番の功績はブルックナー全9交響曲の録音であると思います。
この全集は後から続く者の大きな指針となったことは間違いありません。
現在、聴いてみても色褪せるどころかひときわ輝く屈指の名演といえるでしょう。
ベルリンpo.による重厚な音と合奏技術により ヨッフムはその偉大な挑戦を開始したのです。

荘厳な冒頭ホルンによる付点リズムで演奏は始まりやや早めのテンポで進む。
このテンポ設定は私はとても好きだ。
ヴァント(ケルン響)盤は 間違いなくこの設定を参考にして(真似して?)いると思われる。
ただヴァントはそれを面白く、ドラマチックに奏でるがヨッフムは表面的効果を狙わず、時には一見平凡にさえ聞こえる場面があるほど謙虚である。
が、よく耳を澄ますとその深い味わいに気づくはずです。

第1楽章の演奏時間が23分5秒。
やや遅めと思われるジュリーニ盤が28分2秒。なんと 5分も違う。
ちなみにヴァント盤が23分52秒でした。

ヨッフムはその論文「ブルックナーの交響曲の解釈について」の中で述べている。

「あらゆる音楽の解釈に当たって決定的なのはテンポの選択である。
ブルックナー交響曲における広大な範囲に渡る緊張は、発展し、そして解決されるべきものであるが、正しい基本テンポを要求する。・・・後略」


第1楽章の展開部など 驚くほど軽快で 現代の演奏はかなり遅い演奏が多いような気がする。逆にヨッフム盤が新鮮に聞こえて 心地よい。

とにかく 手元に置いておきたい演奏です。


20年ほど前
秋葉原「石丸電気レコード店」クラシック売り場の棚に燦然と輝くヨッフム指揮ブルックナー交響曲全集。
当時 完成していた唯一の全集であり、12枚組みの分厚いケースはその威容を誇示するかのように鎮座していた。
「あ〜 いつかは欲しいな〜 まさに高嶺の花じゃ〜」と 見るたびに溜め息の日々でした。

数年後、専門学校で某Pレコード会社の女性と知り合いになり 耳よりな情報を得ました。
ご存知の通り、クラシックレコードは数年サイクルで廃盤と再発を繰り返すのですが、社員には事前にその廃盤予定のレコードを格安で販売するというのです。

ほどなく、彼女から渡されたリストを見て驚きました。
キラ星の如く並ぶDGの正規盤の中に ヨッフムのブル全集の名前を発見したのです。
しかも 価格はレコード一枚につき すべて\600!!
つまり 12枚組み定価\20000のものが \7200ということになります。
迷わず購入したのはいうまでもありません。

こうして 憧れのヨッフムによる全集を手に入れることができたのであった! ワッハッハ!!

こんなこと 書いちゃっていいのかな?