シャイー盤のブル9について

keijuさんから頂いたメールより

kuniさんへ

以前ブル9の投票でベスト3に入れたシャイー盤の批評を書きました。

自然体で清々しいシャイーのブル9

 これは優秀なオケによる自然体のブルックナーだ。
山が好きな私は、以前KUNIさんにお目にかかった時、ブルックナーの音楽からは自然の情景が浮かんでくるとお話したが、9番だけは例外で、その崇高な音楽から連想するものは、自然の風景というよりも、宇宙の神秘や深い瞑想であった。
しかし、このシャイー盤からは、初期の交響曲に窺えるような自然のざわめきが聞こえてくる。
第2楽章のトリオにおける木管の掛け合いなど、渓流に戯れる小鳥のさえずりのようだ。
朝比奈やヴァントに時折みられるような熱気やダイナミックさは無いが、その代わり全曲を通して清々しい清涼感が流れる。
優秀な録音も手伝い、弦は滑らかで、金管は絶対に喚かず、音の溶け合いも非常に良い。
シャイー流の細部に気を配った明晰な解釈も好感が持てる。
例えば、第1楽章第1主題の中核動機へクレッシェンドするときのフルートの強調、第3楽章第2部の弦によるコラール(普通ならば最大の聴かせどころ)の穏やかで控えめな表現、コーダに入る前のトゥッティにおいて金管の背後で弦をさざ波のように主張させ
る効果、そしてコーダにおける朗々たるホルンの歌わせ方が印象に残った。
ちょうどホーレンシュタインのマーラーの3番を彷彿とさせるような、爽やかなブル9をお望みの方には一聴をお薦めする。
個人的には大変気に入っているCDである。

KEIJU


keijuさんご推薦のシャイー盤ですが、私は残念ながら未聴です。
爽やかな「ブル9」というのも なかなか趣きがあって期待が持てますね。
近々、ぜひ 聴きたい一枚となりました。

keijuさんの話はこちらにも ありますので、どうぞ。