チェリビダッケの「ブル9」


kurikenさんは噂のEMIによるチェリビダッケ エディション-Vol.2「ブルックナー・チクルス」をいち早く入手されたとメールを頂きました。
私自身もとても気になっていたので、彼のメールを興味津々で読ませていただきました。

読み進むうちに どうしても欲しくなってきてしまい、分売まで待てずに「気が付いたら 買っていた。。。」のは言うまでもありません。(笑い)

以下 特に「ブル9」に関しての感想を掲載させていただきます。


チェリのセットですが、12枚組と膨大な(何せ5番が2枚組)もので、まだすべては聞き込んでいないのですが、ここまでの愚見などを・・・。

9番は・・・凄い演奏です。チェリの最後のブルックナーの演奏です(1995年9月)。
国内セットにはリハーサル(だけ)がもう一枚ついているのですが、確かにこれは(元々ついているものもふくめて)貴重な体験でした。
kuniさんは必聴物かも知れません。
9番と一緒のものも特典盤も同じ演奏(CDのもの)の為のリハで、音が作りかえられていく姿がはっきり分かって面白いです。

第3楽章「トランペットの信号」(kuniさんのweb参照しています。)の所が「ホルンが主旋律だよ。」とのたもうてトランペットを少し抑えさせるところなど、ヴァントの最新盤の音づくりでもやはりホルンを強調していた点を想い出してにやりとさせられます。

第2部コラールを「あきらめるように内向的に・・すべて虚無なのだ(ちょっといい加減)」と指示するところなども面白いところです。
で、肝心の演奏ですが、何と9番で2枚組の大作です。特筆すべき点はスケルツォが18分以上かかっているところです。
チェリは最初から死に赴く音楽を作っている様にすら感じてしまいます。
8番の満点に輝く星空を進んでいくような演奏とは対照的に、何もない暗がりを独りで手探りで歩いていくような演奏です。
ですから、第3楽章第2部コラール(155小節)やコーダは少し堅めで痩せているような感じです。
壮大な合戦ものか何かの映画で、主人公もみな死んでしまった後で野原が映し出され、空の下花が揺れていてエンディング、みたいな演奏です。

もしもブルックナーの本質が「神」との対話だというならば、ヴァントの方が神には近いかもしれません。この世ならぬ美しさという点において。
しかし、チェリのこの演奏はブルックナー自身のこの曲に対する心がのぞけるようで、とても感動的です。
遅くてもいいじゃないですか、と思います。

全体としては大満足ですが、でかいのと、輸入板のジャケットの方がかっこよさげ(枯山水か何かですね)なのが、悲しいです(;_;)
セット盤はチェリの写真ばっかり。チェリのブルックナー(とチャイコ)が好きで、チェリなら何でもいいわけじゃない僕としては輸入盤の
ジャケットの方がいいです。
あと、解説はなかなか為になりますが、朝比奈さん嫌い(らしい)の人が書いているので所々に出てくる朝比奈さんに対する皮肉がファンは激怒物かも知れません。朝比奈ファンは輸入盤にする事を推薦します。
僕はまだヴァント・チェリ・クナ・シューリヒト並みの朝比奈盤にであっていないので、納得してしまいました。
もしも朝比奈ファンでしたらすみません。

といった所です。下手な文で長くなってすみません。
聞いていくうちに変わると思うのでそうしましたら、また。

ところで書いていて思ったのですが、ヴァントが本当に体調が悪くなってきた時にベルリンフィル(ミュンヘンでもいいですけど)で
9番を振ったらどんな音楽が出来るんでしょう。
まだヴァントには色々振って欲しいので近い将来では困りますが、禁断の願望(^^;)でしょうか?

それでは失礼します。
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チェリビダッケ
エディション Vol.2
ブルックナーチクルス


チェリビダッケの音楽は誰が聴いても 楽しめるものではなく 好き嫌いのハッキリした演奏です。
kurikenさんのメールの中に

「僕はチェリのゆったりとしたリズムが好きです。
チェリの演奏とリズムが合うと聞いている間は音楽が世界の全てのようになってしまったように感じてしまうほど没頭することがあります。」

という一文がありましたが、これが彼のチェリの「ブル9」への評価そのものだと 私は感じました。

近々、彼のHPが公開されるそうなので 大変楽しみにしています。 (^_-)