ヴァントのブル9


y_shinjiさんは、ステレオシステムにも詳しいブルックナーファンの方で、いつも興味深いメールを送ってくださいます。
先日、ヴァント/ミュンヘン盤についてのメールをいただきましたので、紹介します。



昨日、やっとサルダーナのヴァントを入手しました。
未完成との2枚組のやつ。
青い色した、怪しげな盤なのに凄く良い音。
どうやって録ったんだろう?噂はホント、大変素晴らしい演奏でした。

オーケストラの違いが大きいですね。
金管楽器なんか、あのチェリにしごき抜かれた成果でしょうか、抑制を利かせるところなど、音の密度を下げずに指揮者の指示通り、リズム的にも完璧に吹いています。
しかも、クリアーでクールな音色はチェリのまんま。木管も冴えておりこれも音色はクール系でしょうか。
ところが、音楽そのものはヒューマンな暖かさに溢れております。
この曲は最後の最後まで戦うブルックナーの姿を感じさせるとともに彼岸からの響きがなんの脈絡もなく挟み込まれていきながら、第3楽章のコーダに至って人間の音(弦楽器)と青い空(金管)とがひとつとなり、金管楽器で終わるというように私は聞いていますが、最後のピツィカートの後のこる金管の長さが、かのシューリヒトなみに延ばされており、満足の行くものでした。

もっと、第1,2楽章で神秘的な暗さを際だたせた演奏も可能だとおもいますが、ヴァントは最初から悟った人間が自然体で人生の戦いを勝ち抜いたような感じです。

あああ、又ムラが聞きたくなった。不気味さが欲しい。
この曲の毒にはまってしまいそうな久しぶりの名盤でした。
聞いてないけど、ベルリンより良さそう。



ヴァント/ミュンヘン盤の魅力を 明快に表わした感想と私は感じました。
参考までにy_shinjiさんの「ブル9ベスト盤投票」も付記しておきます。

1.ヴァント指揮 NDR1993年盤
2.スクロバチェフスキー指揮 ミネソタ管弦楽団盤
3.シューリヒト指揮 ウイーンフィル盤

スクロバは、聞いていてどうもニセモノ臭いのだが録音が抜群。オーディオファン向け。

y_shinjiさん 今後ともよろしくお願いします。