オートデコンプワイヤ交換

  

第一回 : オートデコンプワイヤ交換

                   1.オートデコンプワイヤとは?

                   2.内容

                   3.今回の工具


1.オートデコンプワイヤとは?

 オートデコンプという名前自体、4スト、シングルエンジン、キックスターターのオーナー以外あまりご存じでないはず。
ここ10数年の間に常識化した技術でもある。(つーか、昔知り合いが「新技術だ」って、SRについたセミデコンプを自慢していた。)

 さて、(オート・セミ)デコンプという奴が何をしてくれるかって言うと、簡単に言えば「息抜き」。
エンジンは、その行程中必ず「圧縮」が必要なわけだが、現在の高性能な出力を出すためには、高圧縮が不可欠。しかし、あまり圧縮をあげるとキックが出来なくなってしまう。(セルスタータならなーんも問題なし。ブローするまで圧縮上げてくれい)ヘタをするとケッチンをくらってしまう。
 そこで、キックする一瞬だけ圧縮圧力を下げてやろうというのが、デコンプという機構なのだ。
基本的な構造は簡単で、バルブを手動で持ち上げておくだけ。セミオートタイプはキックする寸前にレバーを操作して圧縮を抜くが、オートタイプはキックスタータの踏み込み始めに専用のカムを動かしバルブを解放する。

 で、コイツをコントロールするのがデコンプワイヤなのだが、コイツ切れるとどうなるかっつーと、デコンプしてくれない。
まあ、そうはいっても、要は便利機構なんで、きちんと上死点を探して気合いを込めた一発でエンジンはかかっちゃうんだけどね。実際、ワイヤが切れているのに気付くまで、「なんか最近、エンジンの掛かりが悪くなったなあ」ぐらいにしか思わなかったもんね。

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2.内容


ここは、シリンダヘッドあたり。切れちゃってます。本当は指の向こうにある穴っぽこにワイヤの先の太鼓が収まって無くてはいけないのだが、どこか消えちゃってる。
実は、この2〜3週間前、エンジンオイルを交換したときに、オイルを出し切ろうとしてキックスタータをグリグリ動かしたんだけど、なんか、金属片が落ちる音が・・・。もしかしてこのとき?
もっとも、この時期非常に寒かったためオイルが固くなっているのかなどと勘違いしていた。と言いつつ、この時期腰の調子が絶不調。会社の帰りなど、同僚にエンジンをかけてもらうほどだった。
因みに、作業するとき、軍手は常識ね。この写真ではNG。
 
 
 

で、ワイヤ買ってきた。新品。¥1,500.−くらいだったかな。
実は買ってから1〜2ヶ月放置。なかなか時間がとれない、と自分に言い訳。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


ここは、ワイヤのキックスタータ側のホルダ。@のホルダを緩め、Aの太鼓を外す。
12番のスパナ2本使用。(固定と緩め)
因みに手前にぼやけているのがキックスタータで、内部のワンウエイクラッチ(ラチェットレンチみたいにある方向にしか動力を伝えない)がキックスタータの動作を感知しデコンプワイヤを引っ張る。
シリンダヘッド側のカムがこれにつられて動作し、ヘッドバルブを解放するという機構。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

んでもって、ワイヤクランプを外せば、取り外しはおしまい。
写真じゃまだ下が繋がっているけど、このケースでは最初から上は外れているのでこんな状態で一発撮りました。
 また、ケーブル中央部に白いのがちょろっと見えているけど、コイツはワイヤクランプ。フレームに固定されている金属製のため、固いし丁寧に扱いたい。
そこで、結構活躍するのがマイナスドライバー。ま、こじっちゃう訳だけど。
バイクや車のメンテでマイナスドライバーを本来の目的で使ったことは皆無に思う。頑丈な貫通式(頭をハンマーでたたける奴ね)なんだが、何年も使っているうちにシャフトは曲がっちゃうはたがねの部分は緩んじゃってがくがくだわ、ひどいことになっているが価格以上の使いごたえ。気に入っている工具の一つ。

 取り付けはこのまんま逆で、私の場合、作業の難しそうな下側を最初に取り付け、次に上側を組み込みました。
ここまで写真を撮りながらでも30分はかからなかった。
 

んで、調整。まずクランクケースカバーのふたを開ける。
エンジンの丸い部分(ジェネレータカバーとか、フライホイールカバーとか色々言われる)の中心にある丸いキャップがクランクシャフトのカバーキャップ。その上にあるのがタイミングを調べる所のキャップ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


タイミングカバーを外したところのズームアップ。
中に見えるのがフライホイール。
で、写真じゃ見えにくいけど、ホイールにTのマークが彫ってあり、カバーの雌ねじにも同じ彫刻が。これらを合わすべく、クランクシャフトをゆっくりと回す。
 
 









うまくあったら、デコンプカムの遊びを調整。

このとき、遊びは1〜2[mm]程度。手元に定規がなかったので、モンキーレンチの目盛りで代用(一応JIS規格品だし)。
 
 


カバーをつけてFINISH!!

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3.今回の工具

@:六角レンチ(タイミングカバーを外すのに利用)
A:六角レンチ(クランクシャフトカバーを外すのに利用)
B:17番ソケットレンチ(クランクを回すのに利用)
C:モンキーレンチ(定規として利用)
D:11番眼鏡レンチ(各カバーが固着していたため、六角レンチのてこ代わりに利用)
E、F:12番スパナ(ワイヤのロックナット、アジャストナットに利用)
G:マイナスドライバ(クランプを外すのに利用)
H:軍手(これを忘れちゃね。)
I:折り畳みいす(隠れた功労者)
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なんてこったい!

口の部分に光るものが見えるだろうか?

な、なんと。オイルである。ついでに言うと、ここから見えちゃイケナイものである。
自分で直せるか解らないが、とりあえず原因究明をせねばなるまい。(いつになることやら)
 
 

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