複線交走式


複線交走式の構造 索道でいう複線とは、単純に索条が複数あるという意味ではなく、 使用する索条がその役割によって搬器を支えるもの(支索)と 搬器を牽引するもの(えい索) とに分かれている索道のことを指します。
したがって複線交走式とは、支索とえい索によって搬器がつるべ式に運行される 索道の方式ということになります。
一般的にロープウェイと呼ばれている索道は、ほとんどがこの方式のものです。

支索の一方は引留装置に固定され、もう一方にはおもりが吊るしてあり 張力がかかっています。(これが鉄道のレールにあたります。)
その支索に懸垂された2台の搬器をえい索でつなぎ、電動機の回転力で えい索を交互に引き上げることによって、搬器を移動させます。
また、えい索の反対側には平衡索という索条が つながれていて、2台の搬器を平衡させる役割をはたしています。
これらの索条は途中、支索シューと呼ばれる装置で支持されます。

交走式の搬器 複線交走式は、1台の搬器に対し支索とえい索がいくつ使用されているかによって2線、 3線、4線、5線式に分類されます。
2線式は支索が1本にえい索が1本(上図)、3線式は2支索1えい索のものと1支索 2えい索のもの、4線式はそのほとんどが2支索2えい索となっています。日本では 1支索2えい索の3線式と4線式の索道が一番多く存在します。 5線式のものは珍しく、別府ロープウェイが2支索3えい索の方式をとっています。

搬器は客室と、それを吊るす懸垂機、索条との接点である走行機の 3部分から構成されます。
えい索を接続するための接続装置や、支索をスムーズに走行するための走行輪等 の装置が取付けられてある走行機部分が他の方式の搬器と比べて異なるところです。

複線交走式の特徴としては、輸送能力は比較的小さいけれども大型の貨物や大人数の 旅客を一括して輸送するのに適しており、また構造が簡単で取り扱いやすいので 乗車側も運行を管理する側も安全感が大きいということがあげられるでしょう。 架空索道本来の特徴である、空中高く大けい間で登るというのを最も体現できる方式 でもあります。
現在、運転速度については、四国の雲辺寺ロープウェイが 10 m/sec、 乗車人員に関しては、新潟の湯沢ロープウェイ、長野の竜王ロープウェイがともに 166 人で国内最大です。(すべて4線式)
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