世界史


1644年、オランダのアダム・ウェブ氏が、ダンチヒというところ に循環式の貨物索道を架設した様子が銅版画として残されています。
ただ、この索道は麻縄と小桶からなるものであり、鋼索を使用し人力以外の 動力による近代索道となると、1868年にイギリスのチャールズ・ ハドソン氏がバーデンヒルというところに架設した蒸気機関による索道が 最初になります。

その後、オーストリアやドイツなどで握索機等の発明工夫が行われ、 1893年、アメリカのノックスビル博覧会に初めて人が乗る索道とし て2人乗りの交走式索道が登場しました。
この索道を手がけたイタリアのセレッティ・タンハニ社は、1894年 に開かれたミラノ博覧会会場にも8人乗りの交走式索道を 架設し、大変な人気を博したそうです。

1908年、オーストリアで最初の旅客索道コーレンバーンが 南チロル地方のボーゼンに架設されました。この複線交走式 索道は後にドイツ人のアドルフ・ブライヘルト氏の手によって4線交走式に 改良され、これよりブライヘルト氏、セレッティ・タンハニ社等が次々と 旅客索道を架設していき、交走式の技術を確立していったようです。

一方スキー場では、1907年、オーストリアのボーデルという ところにスキーヤーをけん引する交走式索道が出現しました。
そして、1934年には ポマガルスキ社がフランスアルプス 地方にテレスキーを、1936年には ドッペルマイヤ社がオーストリア のチュルスにシュレップリフトをそれぞれ架設しました。
また、元々固定循環式の貨物索道が発達していたアメリカでは、 1937年に単線固定循環式のチェアリフトが登場 (アイダホ州サンバレー)、1940年代に入ると欧州にもチェアリフトが架設 されるようになり、テレスキーやシュレップリフト同様、スキー場に多く普及して いきました。

現在の主流ともいえる単線自動循環式の索道が架設されはじめたのは 1940年代後半のことです。
それまで自動循環式は、貨物索道においては多く採用されてきましたが、 旅客用となると1930年にドイツで試みられただけで、やはり主流は 交走式でした。
1945年、フォンロール社がスイスのフリムスに2人乗りの単線 自動循環式チェアリフトを開通させると、次々と自動循環式のチェアリフトが 架設され、1950年台に入るとキャビン型搬器をもつゴンドラへと発展して いきました。
そして1959年、スイスのハーベガーが自動運転のゴンドラを開発、 1966年にはポマガルスキ社がバルディゼールに卵型の搬器を採用 した全自動運転、扉自動開閉のゴンドラを架設し、現在のゴンドラのような システムとなったようです。


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