テコンドーの練習をしていたタイガーは、突然奇妙なテレパシーを感じると共に、代々遺伝するという勇士の証が肩に浮かんでいることに気付く。テレパシーに導びかれ、途中出会ったイーグル・ベアーと合流して３人はビーナス星から来た宇宙船を発見する。そこにはテレパシーの送り主、レディア王女が冷凍睡眠していた。ホログラフに記録されたレオン１２世が、彼らに平和を守ってくれと懇願する。３人はロボット「ポウ」からベクターマンに変身するためのパワーオン装置を受け取る。一方、コブラ大将はメドゥーサの命令により前衛基地建設を着手する。怪物タランチュラとサタン兵が人々を奴隷として捕まえていく…

　特撮物に慣れてしまった日本人の目で見ると極めてオーソドックスな導入パターンではあるが、記念すべき韓国初のＴＶ特撮の第１話として、まとまりの良い物になっている。

　タランチュラがベクターマンに敗れ、メドゥーサから叱責されたコブラは、ベクターマンを倒すために怪物ドラゴンを用意する。同時に多数の人々を拉致し基地建設を急ぐ。一方、ベクターマンはサタンが建設中の基地がソラク山裾の廃鉱にあることを察知し、調査に乗り出す。途中、兄を捜しに来た子供の案内で基地を建設している廃鉱を発見、サタン兵を倒して拉致されて来た人々を救出する。それを知ったコブラは、怪物ドラゴンに３人を襲わせる。３人はベクターマンに変身して戦うが、ドラゴンの強力な尻尾に苦戦する。ポウの助言により、三人は合体波を放ち、辛くも勝利を得る。

　３人が力を合わせてさらに強力な技を繰り出すのだが、気功波ばかりなのはメリハリに欠けるので工夫が欲しいところである。

　レディア王女の目覚めの時が近付いた。王女が覚めたら誕生日祝いのパーティーを開こうと花束を買いに出かけたベアーとイーグルは、警察官に化けたサタン兵の襲撃を受ける。戦闘中、鋼鉄アリの奇襲に合い、二人は捕まってしまう。コブラは捕らえた二人に記憶スキャナーを使ってベクターマンの基地を探り出そうとするが、帰ってこない２人を探すレディアのテレパシーと干渉して失敗する。ベアーとイーグルは隙を見て基地を脱出するが、密かに取り付けられた追跡センサーに気付かない。サタン兵と鋼鉄アリに追いつかれ、絶体絶命の二人。その時、レディア王女の超能力によって本来の力が目覚めたタイガーが助けに現れる。

　第３話にしてやっと目覚めたレディア。彼女はかなり強力な超能力の持ち主なのだが、使いすぎでしょっちゅう倒れている。

　メドゥーサは、怪物が興奮すると体が大きくなる特殊な物質をコブラに送るが、その輸送船が着陸するのをパソコンマニアの少年に目撃されてしまう。少年がネットに書いたＵＦＯ目撃談を読んだタイガーは少年に会いに行くが、カマキリ怪物が現れて少年に襲いかかる。イーグルとベアーも駆けつけ、カマキリモンスターは倒される。サタンの小型宇宙船を探すベクターマン勇士達の前に巨大なキングカマキリが出現。ベクターマンは合体波を出すが通じず、キングカマキリの吐く火炎の前に退却を余儀なくされる。勝利の高笑いを上げるコブラ。巨大化する怪物に対抗する術が見つからないまま、沈黙だけが長く続く…

　ロボット登場の布石とも言える怪物のパワーアップ。興奮すると巨大化するという設定も違和感無く。

　単純なロボ変形をカッコ良く見せているのはＣＧスタッフのセンスの賜物。操縦装置に立っていないためロボが動かないという演出が面白い。

　総司令官メドゥーサはコブラ大将の続く敗北に激怒して自ら乗り出す事を決心、女に弱いイーグルに目を付ける。イーグルはレディア王女にプレゼントする花を買いに行く途中、不良に絡まれている少女を助ける。その少女こそメドゥーサの変身した姿だった。イーグルは少女と楽しい時間を過ごすが、飲み物に薬を盛られ洗脳されてしまう。イーグルの行方を心配したタイガーとベアー、レディアが探すが見つからない。コブラが町を襲いタイガーとベアーが出動するが、洗脳されたイーグルが二人を攻撃、さらに毒トンボが現れ窮地に陥る。しかし、レディア王女の超能力の助けを借り、２人はなんとかイーグルの洗脳を解く。

　敵が人間に化けて主人公に近づくパターン。メドゥーサが総司令という設定でなければイーグルとの禁断の恋が目覚めたのだろうか？

　コブラは、人の脳波を刺激する音波発生器を作って怪物に装着しようとするが、そのためには若い女の声が必要だということを科学者から聞き、地球の若い女を探させる。タイガーは書店で耳が不自由な美少女スルギと出会い、仲良くなる。サタン兵士は若い女を探してスルギに近づくが、タイガーに酷い目にあう。偶然出会ったレディア王女も襲うがそれも失敗。ようやく音怪物が完成し、人々を苦しめる。 怪物の音波攻撃にベクターマンも為すすべが無かったが、スルギの機転で危機を脱し、怪物を倒す。街に再び平和が戻るが、レディア王女が生きていることを知ったコブラは邪悪な笑みを浮べる… 

　音波攻撃を破る方法がかなり強引（耳栓するだけ）である。レディアがサタン兵に襲われるシーンも唐突で、演出に不満が残る。

　レディア王女が地球にいるという事を知ったメドゥーサは、地球征服のための攻撃を急がせる。コブラはサタン兵をレディア王女に変身させてベクターマンをだます策略を立てた。偽レディアを利用してタイガーを捕らえ、わざと逃がしてベクターマン基地を見つけようとするが、偽レディアの不審な行動に気付いたタイガーは無関係の場所にコブラをおびき寄せる。コブラはスコルピオで攻撃するが、ベアーとイーグルが合流し、合体波で逆襲される。怒ったスコルピオが巨大変身するがジャイアントロボで迎え撃つ。イーグルとベアーはタイガーに偽レディアがいたことを問いつめるが、タイガーは微笑を浮べるだけだった… 

　冒頭に行われる「レディア王女変身コンテスト」が妙である。元々コミカルなサタン兵だが、この回はいっそう際だっている。

　コブラは、力の強いカミキリと力の強い人間を結合させる人体合成改造手術を企て、力が強いチャンピオン、カン選手を拉致する。洗脳前に脱出しし、家に戻るカン。しかし彼の姿に妻は恐怖し、自分が怪物になった事に気付く。怪物は再び捕まり、人間の心を奪われてしまう。怪物がカン選手と知ったベクターマンはカン選手を救おうとするが、凶暴化した怪物が襲いかかる。正体を知っているベクターマンは思うように攻撃出来ない。巨大化した怪物にベクターマンは危機に陥るが、妻の叫びで一瞬人間の心が戻った隙にジャイアントロボが発進して巨大カミキリとの壮絶な戦闘が始まる。

　人間の心を取り戻し、最後には人間に戻れるというハッピーエンドは王道パターンだが、見ていて心地よい。ちなみにカン選手が何のチャンピオンかは不明。

　サタン帝国の侵略基地ではウランを使って、新しい武器開発の実験を続けるが失敗する。コブラは地球最高の科学者ユン博士を拉致する。ユン博士の娘ジヘは父の失跡を友達であるタイガーに相談、コブラの犯行であることに気付いたベクターマンは、父を助けようと懇願するジヘにベクターマンのパワーを与える。一方、コブラは兵器開発を拒む博士を脅かすためにジヘも拉致する。捕虜になったジヘは侵略基地に時限爆弾を仕掛け、博士と共に脱出する。サタン兵に追われる父娘助けるベクターマンに怪物毒ハチが襲いかかる。ジャイアントロボの活躍で怪物毒ハチを倒したベクターマンは、サタンの侵略基地の崩壊を喜び合う。

　博士誘拐＆兵器開発のパターン。関係のない人間にベクターマンのパワーを与えてしまうのはかなり強引。なお、この回より変身シーンがグレードアップする。

　新しい基地建設を急ぐコブラは、クワガタ怪物を新興宗教の教祖に変身させ、人々を集団催眠にかけて工事現場に連れ去る。ニュースで集団失跡事件を知ったベクターマンは、コブラの新しい侵略基地建設に気付く。基地捜索の途中で出会った青年から、教祖が目から放つ特殊光線で催眠にかけることを聞いたベクターマンは特殊眼鏡をかけ対抗するが、反対に罠にかけられ捕らえられてしまう。拷問に合い絶体絶命の３人！　その時、レディア王女が生命を縮める危険を冒して３人にエネルギーを送る。パワーの戻った３人は基地を脱出、襲いかかる怪物を迎え撃つ。

　毎回のように超能力で他人を助けるレディア姫。効果は絶大なのだが、使いすぎてすぐに倒れ伏してしまう。超能力の使いすぎは彼女の命を危うくする。

　メドゥーサは、新任の地球征服大将ゴルグ派遣する。コブラは、地球人達が黄金に弱いという点を利用し、人々を黄金で虜にして基地建設に動員していたが、ゴルグの赴任を知り、ベクターマンを利用してゴルグを排除する。ゴルグとの戦いに疲れたベクターマンをオオクモに襲わせ、さらに地球の環境汚染物質を利用して作った特殊爆弾を使用、ベクターマンを危機に陥れる。この時、レディア王女は生命エネルギーを再度使用してベクターマンを危機から救う。憤怒するメドゥーサは、コブラの粛正とベクターマン打倒のため戦艦を地球に向ける。 

　悪の組織の分裂と裏切り。最終回への盛り上げ方としては申し分ない展開である。バッタ怪物なのに「オオクモ」って？

　コブラはメドゥーサが地球に来ると知るや巨大化カプセルを使用、戦いを挑むが彼女の超能力に破れてしまう。さらに体に時限爆弾を仕掛けられ、外してもらうことを条件にベクターマンに戦いを挑むが形勢不利となる。その時メドゥーサがモンスター軍団と共に現れる。コブラはメドゥーサに爆弾の停止を懇願するが断られ逆上、襲いかかるも返り討ちに合ってしまう。一方ベクターマンも消耗が激しく変身が解けてしまう。絶体絶命の瞬間、レディアが最後のパワーをベクターマンに与え、ベクターマンは怪物達を退ける。メドゥーサは形勢不利と見て立ち去るが、地球征服をあきらめてはいない…

　全１３話と言うせいもあるが、この手の作品の最終回としては完結していない点がめずらしい。次回作への期待が高まる最終回である。