M4A2 極初期型 75mm砲搭載型

模型について

 このタイプは溶接車体としては最初に量産に入ったもので、それゆえに試行錯誤な部分もある。特徴としては3ピースディファレンシャルハウジング、M3型のボギー、車体前端の2丁の固定機銃、7分割の車体前面装甲、幅の狭いM34連動砲架付きの砲塔といったところがある。 
 これを模型で再現しようとすると、は改造キットとして「そのものズバリ」のモノが出ていないので、「改造キットを改造する」という手間と金のかかる方法を取らざるをえないのがつらいところである。まず用意するのはタミヤのM4、これは車体下部を使う。車体上部はキリンのM4初期型改造キット(ADV/Azimutのでもいいが、キリンのキットの方が出来がよい)とオードナンスのM4A2エンジンデッキパネル(これは最近発売になったハズ)あるいはロイヤルモデルの改造キット(エッチングのエンジンデッキ入り)を用意する。砲塔は初期型タイプを用いる。チェサピークのレジン製キットが望ましいが、なければタミヤの砲塔を初期型に改造して使うことになる。

 車体下部は3ピースディファレンシャルハウジングとして、ボギーはクロムウエルのM3型ボギー改造キットを使用する。キャタピラはイタレリ((あるいはインジェクション)のT51タイプに変更する。車体上部はキリンの改造キットが好都合なことにエンジンデッキが別部品となっているので、その部分にM4A2用エンジンデッキをハメこめばすむ。多少のすりあわせは必要だろうが、問題にはならないだろう。
 あとはエンジンデッキ左右のインテーク(グローサー収納部)を切り取り、パネルを彫りこんでやれば車体上部はほぼ完成である。極初期型であるから、車体前部に2丁の7.62mm機銃を取り付けなければならない。同時にこのタイプにおいては車体前面装甲板は7分割になっているので、溶接跡の再現もしてやらなければならない。

 あとは幅の狭いM34連動砲架のついた初期型砲塔を取り付けてやれば完成である。
手間はかかるとはいえ、ほぼ全形式の改造キットが出ている現在であれば、それらキットの組み合わせで作れることもあり、金の問題に眼をつぶればそこそこ楽かもしれないという気はする。車体上部は前部スクラッチといった方法を取らざるをえなかった10年前とは大違いの幸せな状況であるとは言えるかもしれない。