3.装甲車、装甲車両(ハーフトラックなど)

M3A1装甲車

 チュニジア戦の頃までは米軍で使用されていたが、それ以降は使用されておらず、レンドリースで英軍やソ連軍に供与されたスマートな印象の4輪装甲車。装甲車というよりは連絡・偵察用車両と言ったところであろうか? キットはかつてのMAXのモノしかないが、これがまた大変に素晴らしいキットである。部品分割が細かく組みにくいという通例にはもれないが、20年以上前の発売ではあっても現在でも決定版である。現在は入手が困難であるが、イタレリからの再販品が出まわる可能性もあるので、持ってない人は買い逃さないように(笑)
 欠点としてはタイヤ幅が狭いことがあげられるが、張り合わせる時に0.5mm程度のシムをかましてやることで解決できる。ディティールアップパーツはエデュアルドからエッチングパーツが発売されている。

M8装甲車

 装甲偵察大隊や機械化騎兵の主力装甲車。37mm砲を搭載した、当時としては強力な部類と言えるだろう。キットはインジェクションとしてはモノグラム(1/32)、レジンでADV/Azimutから発売されている。モノグラムのキットはスケールの問題を別とすれば、大変に雰囲気がよく組みあがるのでお薦めである。ADV/Azimutのレジンキットは砲塔内部も怠りなく再現されている佳品である。車体上下の合いの悪さはネックではあるが、まともに組めれば素晴らしい完成品が手に入るだろう。
 
すでにタミヤ、イタレリ両社のキットが発売されたが、タミヤの方はいつも通りの素晴らしさである。全くもって「ほぼ完璧」なキットばかり出されると、ある意味での楽しみがなくなるような気さえしてしまうが・・・。イタレリのキットは、いい意味で予想を裏切られたと言える、素晴らしい出来である。タミヤと甲乙つけがたいというのが正直な感想で、「やれば出来るのね」という感じである。両方とも価格的にはこなれているので、作りくらべを楽しむのが正しい道だろう。

M20装甲車

 M8装甲車の砲塔をオミットし、ガンリンクマウントを装着した連絡・軽輸送用装甲車である。バリエーション展開が楽なせいもあり、M8装甲車をリリースしたメーカー全てから発売されている。タミヤ、イタレリ、モノグラム、ADV/Azimutの4社である。。の両社ともキットを発売している。評価としてはM8と同様で、どちらもいいキットである。

 タミヤのキットはインテリアも怠りなく再現され、ほぼ満点のキットとなっている。実はM8をキット化した時点で車高を間違えていたらしい(1mm低いのだそうだ)が、それも改善されている。最近、バーリンデンなどからエンジンパーツなども発売されており、キットを生かした「内部完全再現」などに挑戦するのも面白いのではないかと思う。

 イタレリのキットも出来は悪くなく、タミヤとの作り比べも面白いだろう。モノグラム、ADV/Azimutのキットは今となってはあまり価値がなく、これから手に入れようとする必要も無いと思う。

M3ハーフトラック系列

装甲兵員輸送車として米軍に欠かせない車両である。ボディ・シャーシーを利用したバリエーションも豊富で模型でもいろいろと出ている。モノグラムの1/32(よりは1/35に近い)はかなり古いキットであり、今となっては作る気にはならないが、そのフロントフェンダーは英軍に供与されたM5/M9系列を製作するのに使える。米軍で使用されたタイプとしては間違ったキットではあるが、それが幸いしている部分ではある。キットはそのモノグラムと20年選手とはいえいまだバリバリの現役のタミヤのモノがある。タミヤのキットの発売は1975年とはるか昔の話しだが、今もってほとんど手をいれる余地がないほどの素晴らしい出来である。名作と言ってよかろう。確かに足回りに不満がないではないが、実車の繊細さをインジェクションで(あるいはプラスチックという材質で)再現しろというのは、いかにタミヤの技術力をもってしても不可能な話しであるし、どうしても不満ならエデュアルドのエッチングを組むという恐ろしい方法があるので、それにトライするのがよかろう。考えてみると、あのスプロケット/アイドラーをエッチングの組み合わせで作れというのも無茶な話しではあるが・・・。 オードナンスからはレジン製のモノが出ているが、多少強度的に不安でもあるし、ここはどこかのメーカーにビシっとしたロストワックス製のものを出して欲しいところである。
(ホワイトメタルでもいいが精度的問題もあるし、高価になってもロストワックスで欲しい)

M3A1ハーフトラック

 モノグラムからの発売。最近は市場でまったくと言っていいほど見かけないが、いずれなんらかの形で再版になる可能性もある。特に入手する必要は感じないが、英軍で使われたM5/M9ハーフトラックを作ろうとすれば、そのフェンダーが必要になるので、1個くらい買っておいてもいいかもしれない。

なお、このキットはかつて日東がモーターライズで発売していたことを付け加えておこう。
(車体関係はモノグラムのコピーではあろおうが・・・)

M13 自走対空機関砲

 M2重機関銃を連装したタイプのモデル。これも日東からモーターライズ版が発売されていた。

M3A2ハーフトラック

タミヤの名作キット。出来に不満はほとんどないが、M3A2という形式選択に納得がいかない。このタイプは大戦中にほとんど使用されていないという確率が高く、もっと一般的なM3あるいはM3A1にするべきだったと思う。多分これは実車を自衛隊が装備していた関係で、「実車をそのまま」キット化したためであろう。当時のタミヤの悪いクセで、「モデラーが求めてるのとはちょっと違う形式を自社の取材の都合でモデル化してしまった」ということなのだろう。本来は、一般的なタイプと取材したタイプとの差異をリサーチしているのだろうが、たまにそれを省いたかのような形式選択には参ってしまうが・・・。

M21 自走迫撃砲

 M3をベースに81mm迫撃砲を搭載し、自走化したタイプ。これも抜群の出来で、アクセサリーパーツの豊富が楽しいキットである。これまた生産台数が少ない一般的ではないタイプではあるが、有名なM4自走迫撃砲はM2ハーフトラックベースなのでキット化できなかったということだろう。どうせならM2(M2A1でも可)も模型化してしまえばよかったのに・・・。まぁ、結構違いが大きいので無茶な話しではあるのだが。
(リメイクということではなく、M2A1あたりを今から模型化しても遅くはない! 喜ぶモデラーは多いぞ、多分(笑)

M16 自走対空機関砲

 こちらはM2 12.7mm機関銃を4連装にしたタイプ。決定版である。戦闘室上部装甲板がいかにも分厚いので、ここは作り替えてやった方が見栄えがいいだろう。薄々攻撃でもいいが断面が丸見えになるので、やはり0.3mmプラ板等で自作してやった方がいいと思う。車体装甲の厚みが気になるかもしれないが、実車はその部分がフレームになっており、それを再現していると考えれば全く問題がない。

M2A1 ハーフトラック

 車体部分が短く、車内に弾薬庫を装備した基本的には砲兵隊で使用されたハーフトラック。フルキットは存在しないが、チェコのプロフェッショナル・モデルからレジン製改造キットが発売されている。気泡は少なくシャープな成型でエデュアルドのエッチングが付属しているなかなかお買い得キットである。車体後面部分がまるごとゲートになっているという問題もあるが、それ以前にタミヤのハーフトラックと合うのかどうかが大変に不安ではある。

その他ディティールアップパーツ

 各社からディティールアップパーツが発売されているが、中には絶版になったものもありめぼしい物だけを列挙しておく。
  1. エンジンルーム・アップグレードキット(REAL MODEL)
  2. エンジンルーム・アップグレードキット(バーリンデン・プロダクツ)
  3. 無線車改造キット(バーリンデン・プロダクツ)
  4. スプロケット&アイドラーホイール・ディティールアップセット(オードナンス)
  5. スプロケット&アイドラーホイール・アップグレードキット(K59 Production)
  6. 各車種用エッチングパーツ(エデュアルド)


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